台湾では6月29日から観光、知人訪問、文化芸術活動の観賞などを除く「訪台事由」による渡航申請が可能となった。ただし、入国時には、航空機への搭乗72時間以内に実施したPCR検査の陰性報告の提出が求められ、入国後も14日間の「居家検疫」が科される。
居家検疫とは、自宅もしくは特定のホテルからの外出を不可とし、検温など自らの健康状態をチェックすることを意味する。これに従わなかった場合は、最高100万元(※日本円で360万円相当)の罰金が科せられることになる。大変な金額である。
入国許可者は、空港検疫が無事終了すると、それぞれに「在宅検疫書」が渡され、そのまま速やかに検疫場所へ移動することになる。ただし、空港から検疫場所までの移動手段は、厳格に定められている。自家用車か、または「防疫タクシー」と「防疫バス」と呼ばれる政府指定の交通機関を利用するのである。
いうまでもなく一般の台湾人と交通機関での接触が絶対にないようにするための措置だ。防疫タクシーと防疫バスとは、台湾政府の交通部(※日本の国土交通省に相当)がつくったものだ。
自宅またはホテルで行われる「在宅検疫」は、14日間の外出禁止を強制される。これは、検疫期間中に「場所変更」も許されないほどの厳格なものである。
入国許可者が、これを自宅でない場所でおこなう場合は、「防疫旅館」と名づけられた隔離対象者向け宿泊施設が使用される。費用は全額自己負担だが、政府の指針に従い運営されているホテル等である。
この防疫旅館が、食事提供やゴミ回収等々をおこなってくれることになっており、入国許可者の位置情報は携帯電話で常時、把握されている。仮に、無断で移動したり、あるいは電源が消されていたりすると、ただちに自動的に通知され、状況確認のために警官がやってくるシステムだ。前述のように違反者には最高360万円という罰金が科せられることもある。
こうして台湾では、入国許可者に対して「厳しい管理」が実施されるのである。では、日本はどうだろうか。8月5日から始まった在留資格のある外国人に対して、日本では以下の6項目が定められている。
【1】自宅などで入国の次の日から起算して14 日間待機する滞在場所を確保すること
【2】到着する空港等から、その滞在場所まで公共交通機関を使用せずに移動する手段を確保すること
【3】入国後に待機する滞在場所と、空港等から移動する手段を検疫所に登録すること
【4】新型コロナウイルスの検査を受けること
【5】検査結果が出るまで、原則、空港内のスペース又は検疫所が指定した施設等で、待機すること(到着から検査結果が判明して入国するまでの所要時間は、状況によるが数時間~2日程度)
【6】検疫における新型コロナウイルスの検査結果が陰性でも、入国の次の日から起算して14日間は、自分で確保した滞在場所で待機することを要請する。そして保健所等による健康確認の対象となる。
台湾と日本の決定的違いがおわかりだろうか。台湾は巨額の罰金を伴う「隔離」であり、日本は外国人それぞれの自主性に任せた「要請」に過ぎない。