国内

第1波の教訓が生かされない日本 門田隆将氏が緊急寄稿

国内ではGO TO キャンペーンも展開中(EPA=時事)

 日本政府の新型コロナウイルスへの対応は、グローバルな視点から考えても及第点であったとは言い難い。作家・ジャーナリストの門田隆将氏がレポートする。

 * * *
 日本は何かを間違えている。しかし、その“何か”がわからない──コロナ禍の中で、多くの日本人はそう感じているに違いない。その原因も突きとめられないまま、多くの国民がたった「半年前」のことさえ振り返ることもできず、日々の生活に追われている。

 全国で感染者数更新がつづく第2波の真っ只中、8月5日にその疑問のヒントを国民に教えてくれる政策が実行に移された。日本に在留資格を持つ外国人駐在員や留学生らの「再入国」許可である。

 日本で在留資格を持ち、一時的に母国に帰国していたビジネスマンや留学生が出国前にPCR検査をし、さらに日本でも入国の際にPCR検査を受けることを条件に再入国が認められたのだ。146の国と地域の外国人入国を拒否していた日本にとって大きな政策転換である。

 今年1月、中国湖北省・武漢で感染爆発した新型コロナウイルス。いわゆる武漢肺炎は人口1100万人を超える武漢を都市封鎖に追い込んだ。しかし、感染国、すなわちレッドゾーンからの流入を「まずストップする」という基本に背を向け、インバウンドに目が眩んだ安倍政権は、易々と悪魔のウイルスの日本侵略を許した。

 1月の中国人訪日客は史上最多の92万人に達し、日本は一時のインバウンド収入に潤った。だが、懸念された通り、それは武漢ウイルスの蔓延を生み、また東京五輪の足枷で、欧州からの入国禁止という政府判断も決定的に遅れて、日本は想像以上の経済的打撃を負った。

 あらゆる業界に及んだ影響は、中小企業が倒産を余儀なくされる秋以降の“小崩壊”と、来春以降は大企業も破綻していく“大崩壊”の二段階での悲劇が訪れると言われる。日本経済は、息の根が止まるかもしれない瀬戸際がつづくのである。

 武漢から発信されたSNS上の阿鼻叫喚の有様にも「過剰な心配は要りません」と言い続けた官邸や厚労省らは、痛烈なしっぺ返しを受けたことになる。

 7月末、新型コロナの新規感染者は連日世界で25万人以上、日本では1000人以上が記録されている。一方、世界の防疫成功ナンバー・ワンの台湾は110日間連続「国内感染者ゼロ」を記録。経済活動も、スポーツ・文化活動も通常通り動いている。

 共に隣国に発生国・中国を抱え、条件はまったく同じなのに、なぜ日本と台湾にはこれほどの「差」が生じたのか。それは、この「8月5日時点」を見てもわかる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン