「女優さんにはもう感謝しかないです。中3の時に飯島愛さんの裏ビデオが友達から回ってきたり、地上波の『おとなのえほん』という番組でAVをフツウに流していた時代に、私は思春期を過ごしました。
その時々で見た作品と、その時に自分が何をしていたかは、今でもセットで思い出せます。例えば25年前の祖父が亡くなった日に夕樹舞子さんに慰めてもらったこともハッキリ憶えています。毎年、祖父の命日がくると、夕樹さんのことを思い出しますもん。それくらい自分の心身の成長とリンクしていて、神格化した存在なんです。だから彼女たちを普通の女優と比べて格下のように言う『AV堕ち』という言葉には、今でも納得がいかないんです」
素肌を晒す女優たちの、さらに素の姿に、家族という切り口から迫った本作は、それがアイドル的な職業にすらなりつつある現代のフラットな空気をも映し出す。読後に見返したカバー写真で当真さん母娘越しの空は晴でも雨でもなく、ぼんやりした曇り空なのが印象的だ。
【プロフィール】てらい・ひろき/1980年兵庫県生まれ。同志社大学経済学部卒。大学時代の先輩の「離婚式」をプロデュースして以来、多くの式に携わり、13年には心のデトックス「涙活」を発案。「まずい棒」を始めとする銚子電鉄との商品開発や映画『電車を止めるな!』(8月末公開)の原作脚本、日野日出志作品の管理運営など、幅広く活動。著書に『離婚式へようこそ』『泣く技術』『あの世の歩き方』等。また昭和オカルトや都道府県別『怖い話』シリーズも。172cm、66kg、B型。
構成■橋本紀子 撮影■国府田利光
※週刊ポスト2020年8月14・21日号