国際情報

【アメリカ発】塹壕に潜んで反撃を待つ保守派有権者たち

トランプ支持者の多くは「死んだふり」なのか(時事)

 アメリカの各種世論調査では、引き続きバイデン氏がトランプ大統領を大きくリードしている。その差こそ少しずつ縮まっているとはいえ、バイデン氏が圧倒的に有利に選挙戦を進めていることは疑いないように見える。しかし、政治史や社会史に造詣が深いライターJohn Kudla氏は、この世論調査結果には落とし穴があると指摘する。

 * * *
 最近の世論調査の結果から判断すると、かなりの割合の保守派の有権者や、おそらく穏健派の有権者さえもが失意に陥っていることが見てとれる。

 7月19日に実施されたABCニュースとワシントン・ポストによる世論調査で、ジョー・バイデン氏がドナルド・トランプ氏を15ポイントリードしていたことに驚いていない人もいるだろうし、7月26日に実施されたCBSニュースとユーガブによる世論調査ではバイデン氏が10ポイントリードしていた。最新のエコノミストとユーガブによる世論調査ではバイデン氏が9ポイントリードしている。各種調査の平均値を算出しているReal Clear Politicsの調査を振り返ると、トランプ氏がバイデン氏を上回った最後の世論調査は2020年2月であり、ほぼすべての世論調査でバイデン氏がそれ以前から支持されている。

 ただし、前回2016年の大統領選挙でも、同時期の世論調査ではヒラリー・クリントン候補が平均で4.7ポイントリードしていた。2020年の世論調査を見ると、バイデン氏は平均9.8ポイント上回っているから、たしかにそれよりは大きな差がある。本当にトランプ氏はそんなに人気が落ちたのだろうか。実はこの差には、5月25日のジョージ・フロイド事件(黒人が白人警官の制圧によって死亡した事件)が大きく関係しており、それ以前のバイデン氏のリードは平均5.2ポイントで、2016年のヒラリー候補と大差はないのである。

 7月16日のギャラップ世論調査に注目してほしい。ジョージ・フロイド事件が起きた2020年5月から2020年6月までの間に、共和党を支持するアメリカ人は44%から39%へと5ポイント低下した。これはバイデン氏が支持を上積みした分とほぼ同じ。この変化は有権者の一時的な感情にすぎなかったのか、それとも全体の5%にあたる共和党員が民主党に永久に移ったのか。これは私の推測だが、彼らのほとんどが、今は共和党員であることを認める時期ではないと判断したのではないかと思う。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン