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所得倍増計画の池田勇人元首相が考えた「政治の順序」とは

1964年には東海道新幹線が開通(写真/共同通信社)

 安倍晋三首相は経済政策において、池田勇人・元首相の「所得倍増計画」を真似したとされる。その池田は東京五輪、首都高、新幹線など、派手な公共事業のイメージが強いが、そこにはある信念があった。政治ジャーナリスト・武冨薫氏がリポートする。(文中一部敬称略)

 * * *
 池田の目指す「人づくり」は技術者養成が到達点ではなかった。所得倍増計画発表後の会見でこんな言葉を残している。

「これまでの教育は、自主独立、おたがいに他を信頼するという面での教育ができていない。階級闘争の教育はできているが、人格を完成する教育ができていないので、これに力を入れる」

 池田番記者を長く務めた山岸一平・日経新聞社元専務の証言である。

「池田さんが国政公聴会で熊本に行ったとき、思い出の地・旧制五高にある夏目漱石の碑を見て、『これから池田内閣がめざすのはこれだ。高度成長の次は教育だ』と語っている。それから教育に一層熱心に取り組んだ」

 熊本大学の校内には旧制五高で教鞭を執った漱石の銅像と「夫レ教育ハ建国ノ基礎ニシテ、師弟ノ和熟ハ育英ノ大本タリ」と刻まれた碑がある。

 見たのはこれであろう。何を感じたのか。

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