豊島竜王は藤井キラー(写真/共同通信社)
「豊島竜王が初めてタイトルを獲ったのは28歳の棋聖戦。20歳で王将戦の挑戦権を獲得したが、久保利明九段(44)に敗れ、以降も挑戦権は手にするものの格上の棋士に勝てなかった。タイトルまで遠かったことでは、藤井棋聖と対照的ですが、攻守のバランスに優れ、どんな戦法でも指しこなす万能タイプ。佐藤紳哉七段(42)から“序盤、中盤、終盤、スキがない”と称されましたが、まさに言い得て妙です」(松本氏)
豊島竜王は藤井棋聖の成長をアシストしている。
「藤井棋聖は初段でわずかに足踏みした時があり、師匠の杉本昌隆八段(51)は当時七段の豊島竜王に弟子との練習対局を頼んだ。豊島竜王は格違いの対戦を快く引き受け、順当に勝ちました。その胸を貸した相手がタイトルホルダーとして肩を並べるまでに成長したわけです」(松本氏)
藤井棋聖は次こそ勝って“恩返し”できるか。
※週刊ポスト2020年8月28日号