おかみさんの仕事は多岐にわたる。本場所で負けた力士を励まし、勝ち越した力士を褒めてやる。夜中に弟子が熱を出せば病院まで車を走らせる。
「かつて中野にあったガチンコで知られる部屋のおかみさんは、力士がおかしな相撲を取ると大部屋の黒板に“自分に恥ずかしくない相撲を取ってください”と大書して、部屋の空気を引き締めていた」(前出・協会関係者)
毎日の食費が2万~3万円かかるのはざらで、米を1日10升(100合)炊く部屋もあるので、買い出しには若い力士を荷物持ちとして引き連れる。
差し入れの礼状を送り、タニマチとの連絡窓口にもなる。部屋の経理責任者を任されることも多い。
部屋を会社にたとえるなら、親方が“社長兼事業責任者”で、おかみさんは“副社長兼管理責任者”というところだが、世間的には「主婦」という立場。そんな矛盾が今回の式秀部屋のような問題を引き起こす遠因にある。
にもかかわらず、協会の対応は及び腰に見える。
「執行部の親方衆も、おかみさん問題ではスネに傷があるからではないか。八角理事長(元横綱・北勝海)や横綱・鶴竜の移籍した部屋の陸奥親方(元大関・霧島)は離婚経験者。若貴兄弟の父親で師匠だった二子山親方(元大関・貴ノ花)も憲子夫人と熟年離婚したし、角界で例を挙げればきりがない」(同前)
※週刊ポスト2020年8月28日号