式秀部屋のおかみさんは、かつて「ちゃんこ鍋特集」に登場した
2016年に本誌・『週刊ポスト』のちゃんこ鍋特集取材の際も、現場を仕切るのはおかみさんで、親方と弟子たちはその指示に従ってちゃんこ場を動き回っていた。メニューの考案もおかみさん。食欲増進と疲労回復のためにクコ、花山椒、クミンなどをブレンドしたスパイスで出汁を取る「薬膳ちゃんこ」という“独創的”なレシピを披露した。
力士の栄養管理はおかみさんの重要な仕事だ。ただ、騒動を受けての協会の聞き取り調査では、「後援者が差し入れた新米をおかみさんが実家や知人に送り、弟子には古米を食べさせていた」といった不満も噴出。
「全員に厳しいならまだしも、おかみさんは一部のベテラン力士ら手の合う弟子には気ままに振る舞わせ、そうでない力士は締め付けた。親方はそうしたことでも心労を募らせていたのではないか」(前出・若手親方)
おかみさんの携帯電話に連絡をしたが、つながることはなかった。
ヒト、モノ、カネを差配
8月6日に開かれた相撲協会の理事会は“処分案件”だらけとなった。キャバクラ通いの関取・阿炎(あび)や泥酔する姿がネットで拡散された田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)らの処分が決まった。しかし、式秀部屋の問題は議題にあがらなかった。
芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「暴力沙汰ではない。うまく調整してくださいということ」と説明。式秀親方を注意するにとどまった。
「おかみさんは協会員でないので処分が下せなかったのだろう。ただ、この騒動こそ、協会が向き合うべき問題のはず。部屋の根幹をなすのはおかみさんといってもいい。かつておかみさんと弟子がデキてしまって人間関係の崩壊した部屋はいくつもある。今回の泥酔問題の田子ノ浦親方も昨年、おかみさんと弟子の不倫疑惑が報じられ、離婚が明らかになった。しっかり切り盛りするおかみさんがいてこそ、部屋の運営は安定し、弟子が順調に育って関取が輩出されていく」(ベテラン記者)