球種はスライダーとカーブ、そしてチェンジアップ。だが、ウイニングショットはやはり直球だ。
「自分は真っ直ぐで押していくピッチングスタイル。どんな時でも真っ直ぐでストライクを、空振りを取ることを目標にしている。ツーストライクに追い込んだ時点で、“三振をとってやる”という気持ちよりも、“打ってみろ”という感覚で投げる。自分の主観ではなく、バッターとの駆け引きの中で、三振を狙うようにしています」
憧れる野球人は野茂英雄。「パイオニア的な姿勢がすごい。未知の世界に進んで行くというのは自信の表れ。尊敬しています」。交流試合は登板機会こそなかったものの、近鉄時代の野茂と同じ「11」を背負った関戸はなんとも誇らしげであった。
が、新チームではエースナンバーを譲りたくはない。
「ですけど、それは個人の感情なので。それよりも、チームとして日本一を目指したい」
関戸とエースナンバーを争う松浦慶斗は、交流試合でも2回を投げて無失点に抑えた。7日前の大阪独自大会準決勝、履正社戦でも、大差をつけられていたとはいえ登板の機会を与えられたことが期待の大きさを物語っている。
北海道出身の松浦は身長が186センチという大型の左腕だ。西谷監督は、とりわけ期待の大きな選手にだけ使う「スケールの大きな選手になってもらいたい」という言葉を、この代では松浦に贈っている。松浦は「ロマンのある投手になりたい」と話す。
「左で速球派というのは育ちにくいと言われている。自分は身長もあるので、直球で押していける投手になりたい。球種はスライダー、縦のスライダー、それからスプリットとチェンジアップの間のようなツーシームも投げます」
秋の大阪大会で登板機会の多かった右腕・竹中もエース候補か。野手では交流試合の東海大相模戦にて7番サードで先発した宮下隼輔、やはり交流試合で代走として出場した野間翔一郎、捕手の坂などが中心となってくるだろう。さらに、1年生には独自大会でボールボーイを務めた海老根優大という外野手もいる。競輪の現役選手である父を持ち、すでにB戦(主にベンチ外メンバーの試合)ではえげつない本塁打を放っているというエピソードも伝わってきている。
中学時代の“肩書き”の多さからして最強世代と重なる彼らを、私は入学の段階から密かにこう呼んでいた。大阪桐蔭史上に残る、「最強第2世代」と──。