コロナ対策で脚光を浴びたデジタル担当相の唐鳳(オードリー・タン)氏は日本のアニメの大ファンで、「コロナ対策やスタートアップ振興などで日本と協力したい」と語っている。「天才デジタル担当大臣」のこうした路線も日本経済の追い風となるはずだ。
安全保障面でも日本と台湾は「ウィン・ウィン」の関係を築ける。元航空自衛隊3佐で評論家の潮匡人氏が指摘する。
「一国二制度を唱えながら、香港の弾圧を始めた中国を見て、“明日は我が身”である台湾は、自由主義国の日本と連携する必要性を感じているはずです。日本にとっても台湾はシーレーン上の要衝であり石油をはじめとする多くの資源をこのシーレーンを通して輸入している。万が一、台湾が中国に渡ったら、タンカーは遠回りしなければならず、資源価格が一気に高騰する可能性がある。日台の連携は、お互いの安全保障面からも重要です」
日台関係は、台湾の目と鼻の先にあり、中国が虎視眈々と占拠を狙う尖閣諸島の領有権問題にも直結する。
台湾の戦略的重要性に気づき始めた日本政府は、2020年度版の外交青書で初めて台湾を「極めて重要なパートナー」と位置付けた。
だが日台の歴史を振り返れば、青書は遅きに失したと言わざるを得ない。
李登輝氏が込めた期待
歴史的に見ても台湾とは連携が取りやすい。日本と台湾の交流は、1895年からの日本統治時代に遡る。
「この時代に日本は台湾の近代化を推進しました。縦貫鉄道や港湾、飛行場や電話網などのインフラ整備が進み、灌漑や品種改良などで農業技術が向上し、教育水準も上がったことが、戦後に台湾が経済発展する礎となった。
しかも台湾では、戦後に中国から流れてきた国民党の統治があまりに強権的だったため、日本時代の寛容な統治を好意的に懐かしむ人が多かった」(潮氏)