日本統治時代を知り、日台関係を象徴する人物が、7月30日に他界した李登輝元総統だ。
李登輝氏は日本統治時代に高等教育を受け、「22歳までは日本人だった」と語っていた。
「1988年に総統になった李登輝氏は民主化に舵を切り、中国に背を向けて、自由主義陣営に入る意思表示をしました。彼の頭の中には常に日本があり、かつて統治関係にあった日本と台湾が団結して、中国の脅威に立ち向かうことを望んでいました。李登輝氏はよく、『台湾と日本はお互いに運命共同体であり、より一層密接な関係を深める必要がある』と述べていましたが、その言葉の裏には、日本への期待が込められていたのです」(潮氏)
李登輝氏の思いこそ、日本と台湾が共有する最大の財産ではないか。
「もともと日台関係は良好で、お互いが気持ちよく付き合える関係性があります。同じ自由主義陣営で価値観を共有し、歴史問題も台湾は未来志向で、個々の問題にも是々非々で対応する。日本は新たな日台関係を構築すべきだと思います」(ジャーナリスト・野嶋剛氏)
今こそ頼れる隣国の存在に向き合うべきだろう。
※週刊ポスト2020年8月28日号