8月9日、米国のアザー厚生長官が台湾を訪問し、10日には蔡英文総統と会談。1979年の断交以降、最高レベルの高官の訪台となり、米国の本気度が窺える。
だが米国以上に台湾との関係を重視すべきなのは、日本かもしれない。双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏が指摘する。
「米中対立が激化する中、“米中のどちらを選ぶ”と迫られた時、日本と台湾は同じ立場で悩める関係です。ともに親米路線ですが、露骨に米国を選ぶと近隣の超大国である中国から巨大なプレッシャーをかけられるため、中国にも配慮が必要になる。同じポジションにいるからこそ、日台はともに悩んで知恵を出し合う関係を築けます。韓国も同様の立ち位置のはずですが、現段階で日韓は歴史問題を巡って対立しており、協力的な関係を築くことは難しい」
経済での連携も欠かせない。トランプ政権は6日、動画アプリ「Tik Tok(ティックトック)」とメッセージアプリ「ウィーチャット(微信)」を運営する中国企業との取引の禁止を発表。日本国内でも今後、何らかの措置が取られる可能性が出てきた。
こうした中、頼りとなるのが台湾だ。
「台湾はハイテク産業が伸びていて、半導体の開発製造の実力が高く、半導体が衰退した日本企業が連携を深めるメリットは大きい。台湾を代表するIT企業、鴻海(ホンハイ)がシャープを救済したことが好例です」(吉崎氏)
実際、昨年10月に世界経済フォーラムが公表したイノベーション力指数で台湾は世界4位となり、6位の韓国と7位の日本を上回った。