デモが暴力的になればトランプ氏の思うつぼ(AFP=時事)

 次にトランプ氏が攻撃したのは、これまた自分たちに不利になりかねない「黒人の命は大切(BLM)」運動だった。全米で繰り返されているデモでは、一部で暴力事件や破壊活動、略奪などか起きている。これが「民主党の無政府主義者たち」の暴動だと非難したのである。民主党は社会主義政党であり、極端で暴力的な左翼がはびこっていて、そうした人たちと結びついたのがバイデン氏だという論法だ。

 そこまで言われたら、バイデン氏は即刻記者会見して反論しなければならないはずだが、いまだに効果的な反撃はできていない。バイデン陣営の足かせになっているのが「バーニー・サンダースの亡霊」である。サンダース氏は民主党予備選でバイデン氏を最も苦しめたライバルだったが、自ら「自分は社会主義者である」と名乗り、その主張を多くの若い党員が支持した。バイデン氏はそうした勢力と妥協することで党をまとめようとしているから、少なくとも「社会主義者に担がれたバイデン」というトランプ氏の主張は当たらずとも遠からず、といったところなのだ。もちろん、それと暴動は直接関係ないが、共和党支持者はその主張に飛びついて結束した。

 この戦略はこれからも効果を発揮すると思われる。トランプ陣営は、「民主党は社会主義政党だ」「左翼の若者は法と秩序を守らない」「無政府主義者までいる」と繰り返し声を張り上げるだろう。現実に一部で暴力事件が起き続ける限り、その主張は説得力を持つ。トランプ氏の居直りに民主党支持の若者たちがいきり立てば立つほど、トランプ氏に有利だ。

 トランプ氏と共和党の戦略は見事である。よほどの戦略家がついているはずだ。筆者はある男を疑っているが、今のところ尻尾を出さない。わかりしだいお伝えしたい。

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン