宮城野親方の動向に注目が集まっている
初めての綱取りに挑んだ大関・大の里が2場所連続優勝を決め、横綱昇進を確実にした大相撲5月場所。年6場所制以降で史上最速となる初土俵から13場所での横綱昇進でお祝いムードが高まっているが、その裏で関係者の注目を集めていたのが元横綱・白鵬の宮城野親方の去就だ。
弟子の暴力問題により、宮城野部屋は当面閉鎖の処分が下され、昨年4月から宮城野親方は弟子たちとともに同じ一門の伊勢ヶ濱部屋に転籍していた。今年に入り、4月10日発売の『週刊文春』と『週刊新潮』が、宮城野親方が5月場所後に退職の意向と報道。直後に宮城野親方本人は報道陣の取材に対し、「(辞めることは)ないですよ」と否定していた。
その5月場所後というタイミングが近づくなか、「やはり退職の意向があるのでは、という懸念が関係者の間に浮上している。すでに旧宮城野部屋の一部の関係者に意向を伝えたとの話もある」と話すのは、場所中に宮城野親方と直接言葉を交わしたという角界関係者だ。
そうした懸念が持ち上がるのは、旧宮城野部屋の転籍先となった伊勢ヶ濱部屋に複雑な状況が生まれていることが背景にあるという。
「7月に65歳の定年を迎える伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)の後継者として、1月に引退したばかりの照ノ富士親方が部屋を引き継ぐことが決まっている。そのタイミングでの宮城野部屋の再興が期待されたが、3月場所後の理事会には俎上に載せられなかった。協会側から漏れ聞こえてきたのは、八角政権が続く限り宮城野部屋の再興はないというものだったといいます。
同郷の後輩である照ノ富士と白鵬が犬猿の仲なのはよく知られている話で、日馬富士が解雇されるきっかけとなった鳥取での暴力事件での恨みが残っている。照ノ富士が伊勢ヶ濱部屋を継承すれば、部屋付きの白鵬のほうが格下になる。優勝回数10回の照ノ富士が稽古場座敷の中央に座り、45回の白鵬が廻しをつけて土俵で稽古をつける状況になる。とくに上下関係がはっきりしているモンゴルの慣習からして屈辱的な状況でしょう」(前出・角界関係者)