スポーツ

プロ入り目指す「合同練習会」に参加した無名高校球児の思い

全国からプロ志望の高校球児たちが集まった

 新型コロナの影響で春夏の甲子園が中止に追い込まれた2020年の高校野球。プロ入りを希望する高校3年生の“アピールの場”として初めて設けられたのが「プロ志望高校生合同練習会」だ。8月29、30日には甲子園で、9月5、6日には東京ドームで、合計100人以上の高校生がNPBスカウトの前で懸命なプレーを見せた。集まった選手たちの顔ぶれを見ると、もともとプロ注目株として名前が知られた選手以外に、全国的には無名の選手たちの姿も多く見られた。彼らはどんな思いを抱いて合同練習会に参加したのか。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 甲子園球場で開催されたプロ志望高校生合同練習会(以下、練習会。8月29、30日)の翌日、伊丹空港(大阪国際空港)にその球児の姿はあった。鹿児島県の屋久島にある県立屋久島高校野球部の捕手、黒飛海太(くろとび・かいた)だ。彼は約1週間前の8月24日から関西に入り、姉の自宅に泊まって本番に備えていた。

「台風の情報があって、もし島から出られなくなったら大変だと思ったので、予定を早めたんです。練習会では140キロのボールを受けることになるかもしれない。これまで僕は最高135キロぐらいの球速しか受けたことがなかった。だから前日はバッティングセンターに行って、軟式の最高速のボールで目をならし、当日に臨みました」

 屋久島高校は昨秋の鹿児島大会2回戦で、今夏の交流試合に出場した鹿児島城西に敗れ、最後の独自大会は地区予選で種子島高校に敗れて県大会にたどり着くこともできなかった。黒飛は目立った活躍はできなかったものの、プロ野球選手になるという夢を諦められず、進路を迷っていた矢先、練習会の開催が決まった。

「高校野球の2年半で、プロのスカウトに声をかけてもらうような状況にはならなかった。それなら自分のプレーを見てもらえる場所に自分から行くしかない。プロ野球選手になるためには練習会に出るしかない。そう思いました」

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン