ライフ

全国にある城の天守 大半は史料に基づかず再建されている

光秀ゆかりの城も(写真は福知山城/共同通信社)

 室町幕府第13代将軍・足利義輝(向井理)からの文を持って、明智光秀(長谷川博己)は織田信長(染谷将太)が居城とする尾張の「小牧山城」を訪れる。美濃の「稲葉山城」を攻略中の信長は早々に話を切り上げてしまうが、光秀はそこで義輝を闇討ちする計画があることを耳にして、急遽、裏で糸を引いているという松永久秀(吉田鋼太郎)がいる大和の「多聞山城」へと向かう──。

 新型コロナで3か月間、休止されていたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は、桶狭間の戦いの4年後から放送を再開。室町時代末期を舞台に、将軍・義輝のために光秀が「城」から「城」へと行脚する展開が続く。

 こうした城の現在の姿は番組放送後にも紹介される。しかし、実はそびえ立つ「天守閣(天守)」のなかには、“本当にあったのか史料で確認できないもの”も含まれる。千田嘉博・奈良大教授(城郭考古学)の解説。

「かつては全国に3万近くの城があったとされますが、江戸時代の一国一城令(1615年)で多くが破却となります。その後も取り壊しや焼失などがあったため、江戸時代以前から残る『現存天守』は弘前城(青森)、松本城(長野)、彦根城(滋賀)、姫路城(兵庫)など全国に12城のみです」

 それ以外は「復元天守」「復興天守」「模擬天守」に分類されるという。

「当時の図面などをもとに再建されたのが『復元天守』(全国に14城)です。一方、詳細な史料がなく、他の天守などを参考に建造されたのが『復興天守』(同13城)。さらに、そもそもかつて天守があったのか不明であるにもかかわらず建造されたものなどは『模擬天守』と呼ばれ、全国に50以上あります」(同前)

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン