仕事を始めた妻は交友関係も広がり、友人も増えていった(写真はイメージ)
◆自信をつけていった妻、物足りない夫
経済力のある子煩悩な夫と、子育てをしつつマイペースに働きたい妻。家庭内のバランスは取れている──と、思っているのは夫だけだったのか。
「彼女の仕事が軌道にのるにつれ、少しずつ、バランスが崩れていったのかな。人間関係も広がって、意識高い友人もできていたようでしたし、本人は否定しているけど、出会いもあったのかもしれません。いずれにしろ彼女はどんどん自信をつけていって、それと比例して、俺が物足りなくなってきたんでしょうね、辛いですが。ちょうどそんなころにコロナが起きて、夫婦で顔を合わせる機会が増えた。子供と遊ぶか、テレビやアマゾンプライムでお笑い見てるかの僕に、嫌気がさしたんでしょう……」
そう冷静に分析する裕樹さんに、由佳さんへの愛はあったのだろうか。
「家族としてはあったと思いますが……、正直言えば、俺にとって彼女は娘のお母さん。子供とか、男友達と遊んでるほうが楽しいんです。彼女はそんなに俺にも、不満があったようでした」
しかし、どんな夫婦の間にもある程度の不満はあるだろうし、結婚生活が長くなれば、一般に、愛情は男女のものというより家族愛に変わっていくものではないか。何より子供はまだ小学生だ。
「娘が成人するまでは家族として頑張りたいと俺は言ったんですが……彼女は子供より自分という人。あなたと一緒にいても、私はもう成長しないって。感謝はしているけど、若いうちに新しい人生を始めたいといわれて。ショックでしたが、俺にもプライドがあるので、腹をくくりました。浮気でもなく、こんな些細な理由で別れるとは夢にも思いませんでしたけどね。人生って何があるかわかりません」