インターネットサイト「リスク対策.com」が行なったアンケート結果によると、家族らに発熱があった場合、「解熱後3日目から出社可」としている企業が最も多かった。これは、季節性インフルエンザと同じ基準を適用したものだという。新型コロナではより慎重に判断するケースもあり、「2週間出社停止」とする会社が同調査では2番目に多かった。
いわゆる「コロナハラスメント」として問題視されたように、風邪からくる咳喘息にかかり数日休んだ男性が、快復後出社したら他部署への異動を命じられたという事例が報じられたこともある。
別の契約社員の男性は、勤務中に37度の発熱があり早退を命じられ、「新型コロナ陰性がわかるまで出勤停止」を言い渡された。男性は保健所に連絡するもPCR検査を受けることができず、さらに出勤停止中は欠勤扱いとされ、結局、契約更新を断わられ雇い止めになったと報じられた。溝上氏はこう説明する。
「自ら『熱があるので大事をとって休む』という場合は『自己都合の欠勤』となり休業手当の対象に含まれませんが、会社側の『発熱があったら休むように』という指示に従って休んだ場合は、『会社都合の出勤停止』となるので休業手当の対象になる」
ただし、中小企業となると話は別だ。
「このようなシステムをきちんと作っていない企業は『有給を取れ』となり、有給休暇を使い果たしてしまった場合は無給で休むことになってしまったり、契約社員に関しては欠勤扱いになってしまうケースもある。
休業手当を社員に支払った場合、その補償をする『雇用調整助成金制度』もあるので、社員の休業で損害を被った企業はこれを申請する必要が出てくるでしょう」(溝上氏)
たかが発熱、されど発熱。これからの時代、「体調管理」が一番重要な“仕事”になりそうだ。
※週刊ポスト2020年10月2日号