世の人々を魅了し続けてきたグラビアアイドルや女優たち。その美しいバストの歴史をアダルトメディア研究家の安田理央氏が振り返る。
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1970年代に日本中の若者に美乳の魅力を知らしめたのは麻田奈美、そしてアグネス・ラムだった。実は1960年代後半からの世界的なウーマンリブの台頭と「巨乳の女性は頭が悪い」という米学者が発表した説の影響で、当時は大きな胸に対するイメージは悪かった。そのため、この頃のアイドルは細身が必須であり、胸が大きければサラシで巻いて、そのボリュームを隠していた。
そんな中で、股間をリンゴだけで隠したヌード写真で大ブレイクした麻田奈美と、ハワイ出身のアグネス・ラムは、その健康的で豊満な肉体で、熱狂的な人気を集めた。そして70年代半ばには、当時大学一年生だったかたせ梨乃がデビューする。女優としての印象の強いかたせだが、デビュー時はCMタレントであり、そのCMは豊かな胸を強調したものばかりだった。
3人とも求められたのはビジュアルに限られていた。1970年代には大きな胸の女性は、一段下に見られる扱いをされていたのだ。しかし70年代後半になると、榊原郁恵や宮崎美子なども登場し、グラマラスな肉体への人気は、より高まっていく。
1980年には河合奈保子がデビュー。その豊かな美乳に注目が集まったが本人はそれを指摘されることをひどく嫌ったという。
そして1983年、堀江しのぶが登場。グラビアを中心にビキニ姿を披露しまくり、現在のグラビアアイドルのスタイルの原型となる。残念ながら23歳という若さで急逝してしまうが、彼女を売り出したプロダクション、イエローキャブはその路線を確立させ、かとうれいこ、細川ふみえ、そして雛形あきこを送り出す。ちょうど雑誌がグラビアに力を入れていた時期であり、彼女たちのビキニ姿が各誌の表紙や巻頭を飾ることとなった。