介護の孤独は手探りでも自分で這い出るしかない
夜、怒りや悲しみがよみがえり眠れない日が続いた。じっとしているとうつの泥沼に引きずり込まれそうで、焦って周囲にこぼし、かけてくれる言葉の数々が矢のように刺さってつらいこともあった。「高齢者の感染は絶対避けなきゃ」「サ高住が通所介護を阻むとはけしからん」「介護って大変」「熱心だね」……など。
それでも意外なところに助け船を見つけた。1つはインターネットの介護相談。悩みの投稿に介護家族や専門職が自由に回答するしくみだ。“介護”“相談サイト”で検索するといくつもヒットした。
眠れない夜、あちこちのサイトに書き込むと、深夜にもかかわらず多くの回答が来た。的外れの回答もあるが、何より暗闇の向こうに、同じように頭を抱える家族が見えたことが泣けるほどうれしかった。目に見えるものがすべてだと思い込んでいた世界は、じつはもっと広かったのだ。
そして極めつきは、この連載の漫画を描いてくれている、なとみみわさんとの電話だ。彼女は義母を自宅で介護し、きれいごとだけでは済まない老親との泣き笑いをしっかり経験した尊敬する介護友達。普段はつい業務連絡に追われてしまうが、思い切って「つらい」と告白してみると、
「その気持ち全然わかるよ! 介護のあるあるじゃん」
船に引き上げられて息を吹き返した心地だった。介護にはよき介護友達が必要だ。
※女性セブン2020年10月15日号