介護の孤独は手探りでも自分で這い出るしかない

 夜、怒りや悲しみがよみがえり眠れない日が続いた。じっとしているとうつの泥沼に引きずり込まれそうで、焦って周囲にこぼし、かけてくれる言葉の数々が矢のように刺さってつらいこともあった。「高齢者の感染は絶対避けなきゃ」「サ高住が通所介護を阻むとはけしからん」「介護って大変」「熱心だね」……など。

 それでも意外なところに助け船を見つけた。1つはインターネットの介護相談。悩みの投稿に介護家族や専門職が自由に回答するしくみだ。“介護”“相談サイト”で検索するといくつもヒットした。

 眠れない夜、あちこちのサイトに書き込むと、深夜にもかかわらず多くの回答が来た。的外れの回答もあるが、何より暗闇の向こうに、同じように頭を抱える家族が見えたことが泣けるほどうれしかった。目に見えるものがすべてだと思い込んでいた世界は、じつはもっと広かったのだ。

 そして極めつきは、この連載の漫画を描いてくれている、なとみみわさんとの電話だ。彼女は義母を自宅で介護し、きれいごとだけでは済まない老親との泣き笑いをしっかり経験した尊敬する介護友達。普段はつい業務連絡に追われてしまうが、思い切って「つらい」と告白してみると、

「その気持ち全然わかるよ! 介護のあるあるじゃん」

 船に引き上げられて息を吹き返した心地だった。介護にはよき介護友達が必要だ。

※女性セブン2020年10月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン