ライフ

うつの泥沼に落ちそう… 孤独な介護者を救った意外な助け舟

介護の孤独は経験した人にしか分からない(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支える立場である『女性セブン』のN記者(56才)が、介護の日々の裏側を綴る。今回は、介護の孤独にまつわるエピソードだ。

 * * *
 コロナ禍で誰もが苦しかったこの夏、私もひどく憂うつな気持ちに陥った。苦しくて眠れない夜もあった。単なる母の介護問題ならサクサク解決に立ち向かういつもの自分が、得体の知れない闇に迷い込んだように、動けなくなってしまったのだ。

母は見抜いていた娘の緊急事態

「感染防止第一なのは当然です。外出しないのがいちばんなのもわかってますよ!」

 柄にもなく声を荒らげたのは7月下旬。夏前に東京の新型コロナの感染者数が一時落ち着き、休止していた母のデイサービスを再開したのも束の間、感染者数が急増し、サ高住のホーム長やケアマネジャーに、再びデイサービスの利用休止を迫られたからだ。

 緊急事態宣言から、母のデイサービスを巡ってはたびたびバトルを繰り広げていた。彼女らは運営会社の方針もあって徹底自粛を唱え、私は認知症悪化を心配してデイサービス続行を訴えていた。しかし、サ高住職員がデイサービスを禁止することはできないため、反対を押し切って行くことはできる。前回の再開も半ば押し切る形だった。

 ところが再開すると、安堵や喜びどころではなく、今度は感染の恐怖が襲ってきた。いまやデイサービスは、行くも地獄、行かぬも地獄なのだ。ケアマネジャーたちの頑なな“自粛一点張り姿勢”に思わず怒りがわいた。そして何より、これまで一緒に母を支えてくれていたはずの彼女らが、敵陣で私に刃を向けていることが悲しかった。

 気づくと猛烈な孤独感に包まれていた。母の問題なのに、仕方のないコロナ禍なのに、なぜこんなに悲しいのか。

「Nちゃん、心配事ない?」

 ケアマネジャーたちとのバトルの後、顔を見せた私に母が言った。認知症の母が繰り返し発する定番のせりふだが、このときは心に染みた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン