大学3年生で画家デビューを果たして以来、すべての作品が売れる“完売画家”として知られる、中島健太さん(35才)。コメンテーターを務めた『グッとラック!』(TBS系)では、司会の立川志らくや共演者の厚切りジェイソンなどと、意見を戦わせてきた。
常に冷静沈着に見える中島さんだが、“閉塞感あふれる世の中に一石を投じたい”、“インサイダーとして美術業界に風穴を開けたい”という熱い思いを抱いている。
「何か変えなければならないと思っている人は多いんです。日本では美術業界に限らず、実権を握っている人たちが高齢化している。いってみれば、自分たちの既得権益を守りさえすれば、自分たちの代は潰れることはないわけです。代替わりしないことで、若い人たちがチャレンジしない状況が固定化してしまっていて、それが閉塞感につながっている。
チャレンジできない40代には、何かしなければいけないとジレンマを抱えている人が多い。でも、ぼくがメディアに出たり、コメンテーターとして活動したことで、自分も努力したいという人が出てきたんです。自分のアクションが、美術業界が変わり始めるきっかけになるかもしれない、と思うとうれしいですね」(中島さん・以下同)
世の中はいま、俗にいうアートバブル。アートコレクターでもあるZOZOの創業者である前澤友作氏がジャン=ミシェル・バスキアの絵画を約123億円で落札し、話題となった。アートが投資やマネーゲームの対象となることには批判もある。
「ぼくは、ネガティブにはまったく捉えていないですね。アートに投資する人が増えれば、それによって多くのお金が美術業界に流れてきて、多くのアーティストが育つ土壌にもなる。
それに、マネーゲームに巻き込まれることは過酷なことですが、それも含めて芸術の面白さ。必ず、裏のストーリーがありますからね。そもそも画家は中世から食べられないという固定観念があり、そのイメージが都合よく使われているふしがある。
画商と話をするときも、『画家だからあまり多くを求めてはいけない』という傾向がある。『画家なのだから、食えなくて当然』という。日本には芸術は誰かが育てなければならないという空気が希薄です。作家を育てて羽ばたくまでの助走期間を、じっくり見守る人が少ないですね」
現代の画家はピカソのような破天荒な人生を送れない運命にもあるのだ。