小家族でそこまでの広さが必要なのか
今日、3列シートミニバンは全長4.7m級のモデルが主流。その中で全長4.3mアンダーというショートボディで頑張っているのがシエンタとホンダ「フリード」。以前は他にもショートボディモデルがあったのだが、すでに生産中止となり、この2モデルだけが残った格好である。
トヨタ「シエンタ」(現行モデル)
どちらも結構な人気車種で、販売台数も多いため、ショートミニバンは日本市場で1つのカテゴリーを確立しているように感じられるが、ほかにモデルがなく、販売がこの2モデルに限られることを考えると、イメージとは裏腹に市場としては小さいのだ。
ショートボディであってもミニバンならではのメリットはある。屋根が高く、足を前に投げ出さない運転姿勢のレイアウトが可能であるため、運転席を前輪・後輪間の中央よりかなり前寄りに置くことができ、結果、室内は同サイズのセダンやSUVよりはるかに広くすることができる。このサイズで3列シートを作れるのはそのためだ。
また両モデルとも2列シート仕様を持つが、その荷室の広さはすごい。スライド機構付きの後席を前に寄せれば大人4人と700リットル級の荷室を両立させられる。背の低いステーションワゴンにはちょっと真似できない芸当である。
大量の荷物を積むことができるホンダ「フリード」
「そういう使い勝手の良さはシエンタの圧倒的セールスポイントでした。ですが、ライズが出てきたときにお客様がはたと考えるようになったんです。小家族なのにそこまでの広さが必要なのか、あるいはそんなにも多くの荷物を積むような使い方をするのだろうか、と。
ライズはシエンタほど広くはありませんが、それでも十分以上の車内の広さと荷室を持っています。しかも軽く作られているので1000ccターボエンジンで軽快に走りますし、燃費もいい。ミニバンも今やありきたりだからSUVにしてみようか、という選択をなさるケースが増えました」(前出・販売会社幹部)