デジタル時計の音は日本版にアレンジ
セットから脚本まで、FOXと細部に渡ってやりとりをしているが、その中でさまざまな要望があるという。
「シナリオをアメリカに送ると、この役はこういう芝居にしてほしい、台詞をこう変えたほうがいいのではないか、など細かい要望が届きます。たとえば、FOX側からは、仲間さん演じる朝倉麗の息子、今井悠貴さん演じる朝倉夕太について、子供ならではの純粋な熱さを持っている正義感が強い役柄ですが、あまり子供っぽくなりすぎないようにとメールが届きました。
ほかにもおもしろいと思った要望は、今の日本に置き換えたとき、日本の視聴者が分かりやすくておもしろいと思えるものにしてほしい、というもの。逆に変えてはいけないものとして、24時間の話にすること、時間軸に沿ったストーリーであることは大事にした方が面白いものになるとアドバイスがきました」
分割画面やデジタル時計の表示など、リアルタイム進行を盛り上げる独自の画面演出も踏襲している。
「音にもこだわって作りました。CTU の着信音が好きな人はすごく多いのですが、全く同じにするのではなく、日本版としてカッコイイものにしたいと考えました。最終的に、音階を作曲家のかたと分析して、それに似たかたちで別の着信音を作成しました。
デジタル時計の音も、日本版として作っています。オリジナルの音やデジタル表記は、20年前なこともあり、文字のにじみや音の響き具合がやはりしっくりしなかったので、今の時代にフィットしてものを目指しました。そこで最新鋭にしつつ、懐かしいところも取り入れようと探りました」
セットや音楽に和の演出を入れて日本版らしさも
実はオープニングテーマには、和楽器の音色が使用されている。
「和の楽器は洋風の曲に入ると、少し不穏な感じがするんです。こすれて聞こえる尺八など、和楽器の持つおもしろさを取り入れました。随所に日本を意識して作っています。仲間さん演じる朝倉麗が滞在しているホテルのスイートルームもかなりこだわっていて、季節感が出るように秋の花を飾ったり、調度品も一流のスイートルームといって恥ずかしくないすばらしい家具を置いています。
最大のポイントは、畳のスペースを作っていること。日本のスイートルームは、海外のVIPをお迎えするときに、モダンジャパニーズのようなデザインがあると思います。日本の視聴者にお届けしようと作っていますが、海外のかたが視聴したときに、“日本版ならではだね”と感じられるような、グローバルコンテンツになるよう願って作ったデザインです」