民主党の大統領候補のジョー・バイデン氏(写真/AFP=時事)
──フェイクニュースと事実とは、どこで線引きするのですか?
「トランプからのツイッターだよ。大統領から直接、言葉が届くんだ。ツイッターの内容が真実かどうかを判断する基準になる。選挙で国民に選ばれてトランプは大統領になったんだから」
──トランプは大統領就任以来、2万回を超える事実とは反する発言をしています。
「それはだれが数えたんだい。『ワシントン・ポスト』や『CNN』だろ? 奴らがフェイクニュースなんだから、そんなのあてになるわけがない」
トランプ同様、その支援者も「フェイクニュース」という言葉を好んで使う。自分に敵対するメディアをフェイクニュース呼ばわりするトランプの姿勢は、これほど見事に支持者に浸透している。
こうなってくると、単なる支持者というより、“トランプ信者”に近い。信者にとっては、教祖であるトランプがどれだけウソをつこうが、コロナに罹ろうが、その信心に揺るぎはない。何があっても11月にはトランプは再選する、と信じる。
アメリカを取材して回るとこうした“トランプ信者”が、有権者の2、3割を占めていることが体感として分かる。裏腹に、トランプを蛇蝎のごとく嫌う人たちもいる。
トランプがコロナに罹ったことが分かった10月1日、民主党の大統領候補のジョー・バイデン(77)がミシガン州西部のグランドラピッドに来るというので、支援者たちに話を聞きに行った。
地元に住むロン・ジャッピー(70)は、トランプがコロナに罹ったというニュースを聴いた時、「この世にも正義があるんだと思ったよ」と語る。