原英莉花とジャンボ尾崎の絆は深い
タイヤを引いてダッシュ
女子プロゴルフ界を席巻する「ジャンボ門下生」は原だけではない。
今年8月、2大会連続優勝し、規格外の飛距離で“女タイガー”と呼ばれる現在賞金ランクトップの笹生優花(19)と昨年のプロテストに現役高校生で合格した新生・西郷真央(19)もジャンボ邸育ちだ。
ジャンボの指導の根底にあるのは、「基礎体力と基礎練習こそ最も大切」という信念だ。
「一日中バンカーから打たせたり、シャドースイングを何時間もやらせるなど、反復練習は徹底している。原の場合は、球質を重くするため幅30~40メートルあるバンカーの中でタイヤを引いてのダッシュを何本も繰り返させました。ソフトボールを短いクラブで打ったり、重い野球用のマスコットバットでの素振りやキャッチボールをさせるなど、他のスポーツを取り入れ、体重移動やダウンスイングのタメを身に着けさせるのもジャンボならではです」(同前)
細かな指導をするのではなく、重みのある一言を残して自主性を尊重するのもジャンボ流だ。
「ジャンボは練習をじっと見守り、『打ち方が悪い』と一言だけ残して姿を消します。弟子に自分の頭でどうすべきか考えさせるんです」(同前)
「掃除のオジサン」に間違われる
無敵を誇った頃のジャンボは強面、時には不遜なイメージがあるが、若い女子プロたちは全盛期を知らない。ジャンボが最後に優勝した2002年のANAオープンの時、原はまだ3歳だった。ジャンボ自身、現役バリバリの頃とは違うアプローチで彼女らと接している。
「ジャンボがトップダウンで教えるのではく、メンバーが練習やラウンドを通して競い合うことで技術を高めていく。
今ではジャンボもすっかり丸くなった。弟子のための素振り棒や柄の短いラケットなど練習道具作りは彼の仕事で、朝早くから庭や芝生の手入れもします。若い女子選手がジャンボ邸を最初に訪れる時、庭を手入れするジャンボを“掃除のオジサン”と勘違いして挨拶することが恒例だそうです」(同前)