Creepy Nutsが「お茶の間の愛されキャラ」になることができた理由を、日本語ラップの魅力を発信する漫画『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』(宝島社)の作者・服部昇大氏が分析する。
「Creepy Nuts人気の理由は、ふたりが言わずと知れたラップとDJのチャンピオンでありながら、等身大で腰が低いところにあると思います。ヒップホップは元々アメリカの価値観で作られる音楽なので、ラッパーもDJもどちらかというと偉そうにするものなんですが、最新曲『かつて天才だった俺たちへ』などのタイトルからもわかる通り、彼らは“モテない側の俺たち”や“イケてない側の俺たち”という日本人的な感覚を音楽に盛り込んでいます。
それがラップブームで興味を持った新規ファンや、自分たちがパーソナリティを努める深夜ラジオのリスナーの若者たちの共感を誘い、今ではヒップホップに興味がなかった人たちにまで波及している気がします。
かつては売れ線に走ったラッパーが、リスナーから『セルアウト(売れ線狙いのアーティストを揶揄する言葉)』と叩かれる時代もありました。しかし、Creepy Nutsは、ポップな曲は作りつつも、R-指定はソロではハードコアなラッパーの作品に参加したり、DJ松永のトラックはサンプリング主体だったりと、ヒップホップ心を忘れてないところも上手くバランスを取って活動をしていると思います」
11月12日には、初の日本武道館公演を行うCreepy Nuts。この躍進を続ければ、日本人ラッパー初の東京ドーム公演も夢ではないかもしれない。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)