ビジネス

うなぎパイ、発売当初は浜名湖ブルー 赤黒黄へ変更し人気に

包装カラーの変更がうなぎパイの知名度を広げる一因に

包装カラーの変更がうなぎパイの知名度を広げる一因に

「夜のお菓子」のキャッチフレーズで知られるうなぎパイの個包装が、以前は爽やかな青だったことを知る人は少ない。うなぎパイが誕生したのは1961年。春華堂2代目社長・山崎幸一氏が目指したのは、地元・浜松を盛り上げる菓子の創作だった。

 着想はいたってシンプルだった。まだ知名度の低かった浜松において、唯一全国的に知られていたのは浜名湖。そして、浜名湖といえば“うなぎ”だった。

「山崎社長はお客様を喜ばせるためなら柔軟にアイデアを出すことのできる、遊び心にあふれた人でした」

 こう語るのは、うなぎパイを販売する春華堂の経営管理室主任の手嶋千恵氏。魚介類であるうなぎをお菓子にする発想もさることながら、蒲焼き風の形状やお菓子にそぐわないガーリックの入ったタレの使用など、当時の常識を覆す構想を前に、職人によるさまざまな試行錯誤が繰り返された。その末に生み出されたのが、うなぎパイだった。

 発売当初の個包装が青だったのは、浜名湖をイメージしたため。そこには社長の想いが込められていた。ところが、思うように知名度が上がらず、発売当初の売れ行きは芳しいものではなかった。

 転機となったのは、世間が「夜のお菓子」というキャッチフレーズと、精力増強の効能のあるうなぎを結び付けたこと。もともとこのフレーズは、「一家団欒のひとときを過ごしてほしい」という願いで考案されたものだったが、“あらぬ解釈”をする人も少なくなかった。

「それならば」と社長の鶴の一声で進められたのが、滋養強壮ドリンクのカラーで知られる“赤”と“黒”と、そして“黄色”をあしらった包装への変更だった。こうして、うなぎパイは浜松を代表するお菓子として全国に知られるようになっていった。

※週刊ポスト2020年10月30日号

東海道新幹線、東名高速道路の開通とともに売り上げが急増した1971年頃の春華堂本店

東海道新幹線、東名高速道路の開通とともに売り上げが急増した1971年頃の春華堂本店

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
2週連続優勝を果たした 竹田麗央(時事通信フォト)
女子ゴルフ 初Vから連続優勝の竹田麗央(21) ダイヤモンド世代でも突出した“飛ぶのに曲がらない力”
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン