芸能

フジの戦略は時代に逆行?カギは月9初2クール『朝顔』の成否

月9初の2クール放送となる『監察医 朝顔』(公式HPより)

 作品の好不調がつねに話題に上るフジテレビの老舗ドラマ枠「月9」。『SUITS/スーツ2』に続いて、この秋、月9初となる2クールにわたって上野樹里主演の『監察医 朝顔』が放送される。「1話完結の医療モノ」となったわけだが、その戦略に「時代に逆行している」と疑問の声が上がっている。どういうことか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 19日夜、月9ドラマ『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)の最終話は世帯視聴率8.2%、個人視聴率4.7%に留まったほか、さほど話題にならないままひっそりと終了しました。

 同作はアメリカのヒットドラマシリーズを日本版にリメイクしたものであり、フジテレビにとっては文句なしの大作。織田裕二さん、鈴木保奈美さん、中島裕翔さん、新木優子さんらのレギュラーキャストに加え、終盤には上白石萌音さん、観月ありささん、安達祐実さん、伊東四朗さん、伊藤健太郎さんら豪華ゲストを投入したこともあって、ショックは大きかったはずです。

 次の月9ドラマは11月2日スタートの『監察医 朝顔』。こちらも『SUITS/スーツ2』と同じく続編であり、第1シーズンは昨夏のドラマで最高視聴率を記録しただけに大きな期待がかけられています。

 しかし、この『SUITS』から『朝顔』へのリレーが月9ドラマの危うさを象徴しているのです。

2クール放送は10年に1度の希少さ

『監察医 朝顔』の続編は、33年・135作に渡る月9ドラマの歴史で初めてとなる2クール放送。約半年間に渡って1話完結形式で放送されていくようです。2クール放送はフジテレビ全体で見ても、2009~2010年の『不毛地帯』以来10年ぶりであり、その前は2003~2004年の『白い巨塔』までさかのぼるなど、約10年に1本程度のペースでしか制作されない希少なもの。上記の2作は山崎豊子さんの小説をドラマ化した「フジテレビ開局45周年、50周年記念ドラマ」であり、2クール放送がいかに特別なものかがわかるでしょう。

 ただ、その「1話完結形式の2クール放送」は、テレビ朝日の十八番とされている戦略。主に『相棒』『科捜研の女』の制作・放送コンセプトと同じであり、両作は常に世帯視聴率2桁以上を記録し続けています。しかし、その人気は主に中高年層が支えていて、スポンサー受けは微妙。近年、世帯視聴率にふさわしい広告収入を得られていないことが繰り返し指摘されはじめているのです。

 一方、月9ドラマを放送するフジテレビは、今春に13~49歳の男女を「キー特性」と呼び、この層の視聴率を重視していくことを発表しました。実際、今秋から『直撃!シンソウ坂上』を終わらせて『千鳥のクセがスゴいネタGP』を放送するなど、このところキー特性が好むお笑い系の番組を増やしています。

 その点を踏まえて近年の月9ドラマを見ていくと……2017年10~12月期の『民衆の敵』と2018年1~3月期の『海月姫』が連続で世帯視聴率6%台まで落ち込んだことで、大きく戦略変更。

 2018年7~9月期の刑事ドラマ『絶対零度』、同年10~12月のリーガルドラマ『SUITS/スーツ』、2019年1~3月期の法医学ドラマ『トレース』、同年4~6月期の医療ドラマ『ラジエーションハウス』、同年7~9月期の法医学ドラマ『監察医 朝顔』、同年10~12月期の刑事ドラマ『シャーロック』、2020年1~3月期の刑事ドラマ『絶対零度』、同年4~10月期のリーガルドラマ『SUIT/スーツ2』と、8作連続で1話完結の刑事・医療・リーガル・法医学ドラマを放送し続けているのです。

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン