鎌田氏は病院の仲間とバンドを結成。リズム感がなくともドラムに挑戦

鎌田氏は病院の仲間とバンドを結成。リズム感がなくともドラムに挑戦

ミッドライフクライシスをこじらせないために

 では、ミッドライフクライシスをこじらせないためには、どうしたらいいのだろうか。

 次の5つを提案したい。

【1】新しい人間関係を作る

 仕事以外の人間関係があまりないという人も多い。地域の活動や祭りなどに参加して、新しい人間関係を作るようにすると、新しい自分の役割を発見できる。

【2】違う世代との交流を意識する

 親の世代、子や孫の世代とつながり、自分にできることをする。誰かのために尽くすことで、独りよがりな頑固ジイさんにならずにすむように思う。

【3】趣味を楽しむ

 無心に没頭できる趣味をもつことは、脳を若々しく保ってくれる。ぼく自身は、病院の若い医師たちとバンドを組んで、ドラムを始めた。とんでもなくリズム感がなく、仲間には迷惑をかけたが、新しいことに挑戦しているというわくわく感は得難い体験だった。

【4】自分の変化を確認する

 48歳の頃、パニック発作を起こし、ミッドライフクライシスに陥った。その時、若い頃好きだった小説や映画などをよく見直した。若い頃とは違った見方に気付くことで、自分の変化を確認することができた。自分が積み残した問題の解決にも役立った。

【5】体を鍛える

 中年期に筋肉をつけることは、高齢期を元気に生きるために大切だが、今を生き生きと過ごすためにも役立っている。筋肉を鍛えると、チャレンジングホルモンのテストステロンが分泌されるからだ。

 筋トレなんて面倒だと思っていたが、その頃、スクワットや腕立て伏せなどの運動を始めた。体を動かすことで、心の落ち込みなども解消してくれた。

 ミッドライフクライシスは、誰にでも起こり得る。長生きの時代、成人後期を過ぎて70代になっても、遭遇すると考えておいたほうがいい。

 でも、同時にそんなに怖がる必要はないと思う。人生はそうそう一発逆転のミラクルなんて起こらないけれど、人生は下り坂からが勝負なのだと思う。

 部長になれなくても、レジェンドと呼ばれるような課長になればいいし、生きる目的が見えなくなったら、他人のために力を尽くしたらいい。そんなふうに、自分を再定義するチャンスが巡ってきたと思って、ミッドライフクライシスを肯定的に迎えうちたいものだ。

【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。

※週刊ポスト2020年11月6・13日号

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