スポーツ

1984年の掛布vs宇野のHR王争い「10連続四球」を当事者語る

天覧試合から60年、秘話を明かす

タイトル争いの真相を安藤元監督が明かす

 シーズンも終盤となり、盛り上がりを見せるプロ野球。過去には、タイトルをかけた名勝負があった。

 1984年プロ野球シーズン終盤、阪神の掛布雅之と中日の宇野勝が本塁打37本で並び、残り2試合の直接対決を迎えた。1試合目は両選手とも5打席連続敬遠で、2死満塁で宇野を迎えた場面では「押し出し敬遠」まで起きた。

 ファンは激怒し、当時のセ・リーグ会長が「野球協約の根本理念に反する」との声明を出したが、2試合目も5連続四球となり、両者とも合わせて10打席連続四球で本塁打王を分け合った。阪神監督だった野球評論家の安藤統男氏と、押し出し敬遠された当事者である野球解説者の宇野勝氏が、激しい本塁打王争いの裏側について語った。

 阪神監督だった安藤氏が振り返る。

「カケ(掛布)は『勝負したい』と言っていたけど、最終戦の試合前にヤマさん(中日の山内一弘監督)から『アンちゃん、うちは勝負せんからな』と電話があった。『勝負しようよ』と言ったが、『掛布はこの先何度もチャンスがあるけど、宇野はこれが最初で最後だろうから取らせてあげたい。頼むよ、アンちゃん。うちは歩かすよ』とね。僕は現役時代に阪神でヤマさんと一緒にプレーしたので相談しやすかったのでしょう。

 それで4番しか打たせていなかったカケを3番にして相手の出方をうかがったら、2死走者無しでいきなり歩かされた。こっちだけ勝負して宇野に打たれたら、カケがタイトルを取れないばかりか、打たれたピッチャーの野球人生にかかわると思い、敬遠を指示しました。昔は優勝が決まると後は消化試合で、こんなことはあっちこっちであった。査定にも影響するから、監督としては選手の給料を上げてやろうと必死だった」

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン