朝日新聞(10月9日付)の「声」欄に掲載された〈「おばあちゃん」でなく名前で〉という72歳女性の投稿に、大きな反響が起きている。それは、あるテレビ番組で女性リポーターが農産物を収穫する年配女性に何度も「おばあちゃん」と呼びかけたことについて言及していた。
〈その女性は「100歳までやるから、あと25年はがんばりたい」と話していたので75歳。私と年齢は変わらない。私はまだまだ若いつもり。孫以外の人におばあちゃんと呼ばれたくない。相手の名前を知っているなら、おばあちゃん、お母さんと呼ぶのではなく、名前で呼んでほしい〉
この投稿を端緒に、テレビ番組でも「いつからおばさん問題」が取り上げられ、「呼称」をめぐる議論が女性だけでなく男性にも広がっている。
街中や病院で、他人から「おじいちゃん」と呼ばれたら──ムッとする男性は少なくないだろう。
元参議院議員の筆坂秀世氏(72)は、「赤の他人から『おじいちゃん』呼ばわりされるのは不快でしかない」と語る。
「体の不調や見た目で『おじいちゃん』と自覚するのは自分であって、他人が判断することではない。私は70歳を超えているけど、腰も曲がっていないし、シャンとしていると思っている。膝が痛いとかはあるけれどちゃんと治そうと努力している。孫以外から、『おじいちゃん』と呼ばれるのは、死ぬまで嫌だね。
私は議員時代も、街頭演説で聴衆に向かって『おじいちゃん』『お父さん』と声をかけたことはない。名前が分かっていたら名前を呼ぶし、初めて会った人には『おたくさん』と、身内と他人とでは線を引いていた。他人を不快にさせないために、そういう気遣いが必要だと思う」