そんな時代の中で、「女子メンタル」は、ともすれば炎上してもおかしくない企画だったように感じる。しかし、実際はコアなお笑い好きからも大好評だった。テレビウォッチャーでコラムニストの飲用てれび氏は、「おそらく、女性芸人だけを集めて同じことをやっても、今回のような反応は得られなかったはずです」と分析する。
「というのも、バラエティ番組で自ら笑いをとりにいく女性芸能人をめぐっては、近年、不思議なねじれが見られます。女性芸人の容姿に対するイジリや自虐、下ネタなどは批判されがちな一方で、(お笑いが本業ではない)女性アイドルやモデルの一部は『NG無し』を売りにし、バラエティ番組で活躍の幅を広げています。芸人がやると『いじめ』として否定的に受け取られやすい行為も、アイドルなどがやると厳しい芸能界を生き残るための『頑張り』として肯定的に理解される傾向にあるのではないでしょうか」(飲用てれび氏)
飲用てれび氏は、「女子メンタル」を見て、“女性タレントによる笑い”の豊かさに驚かされたという。
「今回の企画はキャスティングも絶妙でした。人選の絶妙さに思わず唸るほど、女性タレントの層が厚くなっているとも言えます。
バラエティで積極的に笑いをとりにいく女性タレントは、少し前まで天然系とリアクション系に偏重していた印象がありますが、今回は、作り込んだ笑いでセンスを見せたファーストサマーウイカや、ギャル特有とも思える低温ながらも鋭いツッコミで周囲に切り込んでいくゆきぽよ、場の流れを読みながらバカリズム仕込みの笑いを畳み掛けた朝日奈央など、多彩な面々が攻防を繰り広げました。一見めちゃくちゃな金田朋子にも、技巧派の一面が垣間見えたように思います。
女性タレントが日々テレビで見せている笑いは、いつの間にか幅広いものになっている。今回の企画は、そのことを改めて示したのではないでしょうか」(飲用てれび氏)
女性と笑いをめぐって生じている“不思議なねじれ”を逆手にとり、爆笑を巻き起こした「女子メンタル」。第2回が開催された際は女芸人が登場するのか、気になるところだ。
●取材・文/原田イチボ(HEW)