芸能

酒井政利氏が語る昭和歌謡の魅力「普遍性と日本人の感性」

引退コンサートは伝説となった(1980年10月)

酒井氏は山口百恵をプロデュース(写真は1980年10月)

 近年、平成生まれの若者にもファンが増え、昭和の歌謡曲が再びブームとなっている。多くの昭和スターの誕生に携わり、ヒットメーカーとしても知られる音楽プロデューサー歴60年の酒井政利さんに、昭和歌謡が愛される理由を聞いた。

「昭和歌謡は、日本人の心を歌っています。昭和を知らない若い世代にも人気があるとのことですが、恋する喜び、別れの悲しみといった普遍的なテーマを題材に、日本人特有の感性で丁寧に作られた名曲の数々は、世代を超えて人々の心の琴線に触れるのでしょう」(酒井さん・以下同)

 アーティストを売り出すためのコンセプトを決め、作詞家や作曲家を選び、レコーディングやプロモーション、それらにかかわる予算管理なども含めたすべての責任を負う音楽プロデューサーという仕事を通して、酒井さんが世に送り出した歌手や音楽グループは300人を超える。

「音楽プロデューサーに必要なのは、音楽の知識以前にコミュニケーション力だと思います。だって新曲には大勢の人がかかわるのですから。大切なのは信頼関係を築くこと。そして説得力を備えることですね」

 つまり人間力がなければ務まらないのだ。信頼と説得力を培うためには、時代の空気に敏感であることが求められる。

「ヒット曲は“時代”に応援されなければ生まれない。国民的スターと呼ばれる歌手たちは、時代の色に自分を染めていく能力を秘めている。私は時代とアーティストのお見合いをさせるのが楽しくて、気づけば音楽プロデューサー歴60年。自分でもビックリです(笑い)」

【プロフィール】
酒井政利(さかい・まさとし)/1935年、和歌山県生まれ。立教大学卒業後、松竹、日本コロムビアを経てCBS・ソニーに入社。プロデューサーとして南沙織、郷ひろみ、山口百恵、松田聖子など多くのスターを生み出す。『愛と死をみつめて』(1964年)、『魅せられて』(1979年)で日本レコード大賞を受賞するほか、受賞作多数。現在は、酒井プロデュースオフィス代表取締役として音楽プロデュース業のかたわら、次世代のプロデューサーの育成に励んでいる。

取材・文/丸山あかね

※女性セブン2020年11月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン