国際情報

「不正」と扇動した極端なトランプ支持者らの“共鳴”現象

トランプ支持者たちの怒りは収まらない(AFP=時事)

トランプ支持者らにより米国の分断は深まっている(写真/AFP=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、一向に「負け」を認めないドナルド・トランプ米大統領について。

 * * *
 米大統領選で勝利を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領は11月10日、敗北を認めないトランプ氏について「率直に言って、恥ずかしいことだ」と記者会見で述べた。機密情報などの政権移行のためのブリーフィングも十分に受けておらず、トランプ氏だけではなくポンペオ国務長官も同日、「2期目のトランプ政権に向けた円滑な移行があるだろう」と発言し、バイデン氏の勝利を拒否している。

 トランプ氏が潔く敗北を認めないのはなぜか。メディアはその理由を大きく2つに分けて分析している。1つはトランプ氏が持つ大統領としての特権だ。簡単にこれを手放すわけにはいかないという。

 トランプ氏には、2016年と2017年の2年間で納税がわずか760ドル(8万円弱)という脱税をはじめ数々の疑惑が浮上しており、桁違いの負債を抱え破産の可能性も指摘されている。大統領特権により、これまで疑惑に直面せずやってこれたが、立場を失えば免責の無い一般市民だ。借金や負債の返済も大統領でなくなれば待ってくれない。

 もう1つの理由は、米国をさらなる分断に追い込んでいることだ。トランプ氏は、今回の大統領選で現職大統領として最多得票数である7100万票を獲得した。バイデン氏も7500万票と史上最多の得票数を獲得しているが、現実には今回の投票者の半数近くがトランプ氏に投票したことになる。この支持者らにバイデン氏の勝利を納得させるためにも、簡単には引き下がれないという理由があるらしい。

 郵便投票の開票結果が進むにつれ、優勢だった州で次々と逆転されたトランプ氏は、Twitterを駆使して票の集計プロセスなどでさまざまな不正が行われていると訴え続けた。Twitter側は、このツイートに注意喚起のラベルを付け非表示としたが、彼の言い分に呼応した支持者らの中で「エコーチェンバー現象」が起きた。そのため対立が加速し、抗議デモや暴動が各地で勃発したのだ。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト