日本馬が勝った過去22回のうち、秋初戦だったのは札幌記念以来だった2000年のファレノプシスと、3月のドバイワールドカップ以来だった2001年のトゥザヴィクトリーだけ。2着馬も休み明けは1頭、3着も3頭しかいない。1着馬のうち13頭、2着馬3着馬のそれぞれ17頭は、府中牝馬Sか秋華賞からの参戦。やはり牡馬との闘いにくらべれば、ストレスや消耗が少なかったということなのか。
ということで、条件を満たしているのはラヴズオンリーユーなのだが、ここ3走がGⅠ馬としてはやや物足りない。ちなみにオークス馬ではダンスパートナー、メジロドーベル(2回)、メイショウマンボが勝っている一方、1番人気に推された前述の名牝などが10回敗れている。この馬自身、昨年は3着に敗れている。とはいえ、オークス馬の【4 5 8 20】というのは堅実。あとは当日の状態か。
上昇度を鑑みればソフトフルート。抽選をくぐり抜けて出走にこぎつけた秋華賞では、出遅れて道中最後方を進みながら、最後はデアリングタクトとコンマ3秒差。スタートを決めて脚をタメれば、200mの距離延長はプラスのはず。古馬との2㎏差も生きてきそうだ。晩成型なのか新馬・未勝利戦で4敗(うち3回は福永騎手)しているが、いずれも牡馬と走ってのもの。牡馬相手だと性差の力関係以上に本来の競馬ができない牝馬がいるのは事実。牡馬相手のレースでの凡走は、牝馬同士のレースではそれほど気にしなくていい。
相手も手を広げられそうで、府中牝馬S組とGI3勝馬ラッキーライラック、さらに秋華賞で人気に応えられなかったリアアメリアとウインマイティまで。もちろん単勝も買う。牝馬との闘いの厳しさを知っている馬こそ「女王」の名にふさわしい。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。