スポーツ

2場所連続全休の両横綱に引退勧告しない横審の存在意義とは

白鵬も休場が続いているが…(時事通信フォト)

白鵬も休場が続いているが…(時事通信フォト)

 大相撲の毎場所千秋楽の翌日に開催される横綱審議委員会は、横綱推薦やその他、横綱に関する様々な事柄について答申や進言を行う組織として1950年4月に発足した。同年初場所で東富士、羽黒山、照国の3横綱が揃って途中休場したことをきっかけに、有識者による諮問機関として設立された。

「初代委員長は酒井忠正氏(元伯爵、貴族院議員)で、作家の舟橋聖一氏や尾崎士郎氏ら錚々たるメンバーが、成績の上がらない横綱に“自ら進退を決せよ”と警告するなどした。横綱は興行の主役だから、延命させたい協会と意見がぶつかりもしたが、ドイツ文学者の高橋義孝委員長(1981年10月~1990年10月)や読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄委員長(2001年1月~2003年1月)ら、重鎮が厳しく意見する組織として存在した」(ベテラン記者)

 だが、9月場所後の横審では白鵬や鶴竜への「激励・注意・引退勧告」などが俎上に載るも、具体的な決議はなかった。2場所連続で全休している両横綱は、途中休場を含めて白鵬が最近7場所で5回、鶴竜は7場所で6回の休場だ。休場の理由としているケガが毎回違う鶴竜、負けが込むとすぐに途中休場する白鵬には、本来なら協会や師匠の親方、そして横審が意見すべき状態だ。

 横審委員長経験者はどうみるか。千葉大学名誉教授の守屋秀繁・元委員長(2015年1月~2017年1月)は「私が委員長なら、なにかアクションを起こしたでしょうね」と話す。

 2010年に横綱・朝青龍が暴行事件を起こした際のことを、当時委員だった守屋氏はこう振り返る。

「臨時の横審があり、委員長の鶴田(卓彦)さん(元日経新聞社長)が怒って“引退勧告書を書こう”と言って、紙にサラサラと文章を書いたんです。元新聞記者だけに、文章はうまかったですね。それを“署名をしてもらいたい”と言って回すんです。もちろん僕も署名した。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)に渡したところ、“正式には受け取れない。預かりにさせてほしい”という話になった。

 そのうちに、高砂親方(元大関・朝潮)が朝青龍を協会に連れてきた。千代の富士(当時の九重親方)が説得して3人で委員会の席にやってきて、高砂親方が“いま、引退を表明しました……”という話になった。もちろん暴行事件と休場は違いますが、今回も(横審は)動いたほうがいいと思いますよ。横綱に推挙する役割があるのだから、上げるだけでなく辞めさせる時も責任を持ったほうがいい」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン