朝青龍一覧

【朝青龍】に関するニュースを集めたページです。

九州場所に「朝青龍が来場」で相撲協会がピリピリムードの厳戒態勢
九州場所に「朝青龍が来場」で相撲協会がピリピリムードの厳戒態勢
 大相撲九州場所12日目の11月25日、会場である福岡国際センターに元横綱・朝青龍のダグワドルジ氏が現われた。中入り後半が始まる前に夫人を伴って入場し、西の桝席に座って甥っ子の豊昇龍の相撲を観戦した。かつての“お騒がせ横綱”はこの日の観戦をツイッターで予告していただけに、相撲協会サイドは“厳戒態勢”で当日に臨んでいた。 入場してしばらくは、マスクと黒縁メガネ姿で周囲もすぐには気づかなかったが、NHKの大相撲中継のカメラが観戦する姿をとらえ、報道陣のカメラのレンズが向けられると場内はざわついた。元・朝青龍自身もリアルタイムで「久々」とツイートし、目の前で豊昇龍が大栄翔に押し倒されると「素晴らしい負け」と皮肉交じりの投稿を続けた。 打ち出し後、会場前の路上で相撲担当記者の囲み取材に応じ、豊昇龍について聞かれると「剣道のあれ(竹刀)でケツを2~3発入れてやりたいよ。ま、それをやっちゃいけないけどね(苦笑)。もっとガッツを入れてほしい。1人の一匹狼になれよ」と叱咤激励。 引退した元横綱・白鵬(現・間垣親方)についても、会場内で会ったことを明かしたうえで「モンゴル語で“おめでとうございます”と言った。最後の最後で優勝した。お疲れ様よりおめでとうと言いたかった」とコメント。そのままタクシーで博多の街に消えていった。 スポーツ紙は各紙とも『元朝青龍ノリノリ独演会』『元朝青龍ほえた』 『おじさん(元朝青龍)怒』などの見出しで大きく報道した。元横綱が甥っ子の相撲を観戦し、同郷の後輩横綱をねぎらったという記事ばかりだが、実は相撲協会はこの日に向けて戦々恐々としていた。協会関係者が語る。「朝青龍が事前にツイッターで12日目の観戦を予告していたことで、相撲協会は朝から対応に追われていた。協会ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)が陣頭指揮をとり、会場駐車場内にある会議用テントには親方衆や若者頭など30人以上集められました。 朝青龍が本場所にやってくるのは、2012年の春場所4日目にモンゴルのバトボルド首相と一緒に観戦して以来9年ぶり。この時はVIPと一緒だったことで騒ぎを起こさなかったが、その前年(2011年)の九州場所では観戦前に西支度部屋へ入り、モンゴル出身の日馬富士(当時大関)と談笑。八百長問題で支度部屋への部外者の立ち入りを厳しくしていた時期で、支度部屋の監視担当だった岩友親方(元前頭・栃勇=当時)が厳重注意を受けるなど、大問題となったことがある。再発防止のため厳しい警備体制が敷かれた」 焦点のひとつは元・朝青龍がどんな“動線”になるかだったという。「どういう動きをするかわからないなかで、『関係者入口につながる関係者駐車場への乗り入れはさせず、正面入り口から入場させる』『東西の支度部屋の前に朝青龍の先輩格の親方を複数人、交代で警備に立たせて支度部屋への入場を阻止する』『館内で担当記者たちに囲ませない』などの指示があり、30人以上の親方衆や若者頭による厳戒態勢が敷かれました」(若手親方) 結局、元朝青龍のダグワドルジ氏はタクシーで来場。正面入り口から入場し、打ち出し後は正面出口から退出した。そして、会場前の路上で囲み取材が行なわれたのである。「モンゴル出身の親方衆とも一切会話ができないように他の親方を張りつかせる徹底ぶりだったが、さすがに警備をしていた間垣親方(元・白鵬)とはすれ違いざまに挨拶をしたようだ」(前出・若手親方) お騒がせ横綱だった朝青龍は、引退して11年経っても健在だった。
2021.11.26 16:00
NEWSポストセブン
家族との縁は薄かった細木数子さん 巨額遺産を託した「最後の相手」
家族との縁は薄かった細木数子さん 巨額遺産を託した「最後の相手」
「ここ2年ほど見かけないですね」。長年住んでいた東京・神楽坂の近隣住民は口を揃えてこう答える。強烈なインパクトをテレビ界に残し、そして忽然と姿を消した細木数子さん。細木さんの終活は、どれだけの財産を築いても得られなかった家族の絆と向き合う時間だったのかもしれない。 和田アキ子(71才)、木梨憲武(59才)、上沼恵美子(66才)、ヒロミ(56才)……芸能界の重鎮からの供花が、在りし日の人脈の広さを物語っていた。11月14日、細木数子さんのお別れ会が催された。享年83。 ほかには、1000万円の化粧まわしを贈られて話題になった元横綱・朝青龍(41才)からの花も。朝青龍本人いわく、細木さんは“日本の母親”だ。お笑い芸人の、くりぃむしちゅーとネプチューンは、全員が個人名義で花を出していた。「特に有田哲平さん(50才)と堀内健さん(51才)は自宅に何度も招かれては、高級ブランド品をプレゼントされていました。高い調度品で溢れた家ではしゃぐ2人を、笑いながら『こら!』とたしなめる様子は、さながら母親のようでしたね」(芸能関係者) 中国の易学をもとに考案した『六星占術』でブレークし、著作は累計1億部を超える大ヒット。2000年代前半にはテレビ番組で「地獄に落ちるわよ」「あんた死ぬわよ」などの毒舌を吐き、“視聴率女王”と呼ばれるほどの人気者だった。「細木さんは、『テレビのギャラが吉永小百合さんより高い』と豪語していました。実際に『ズバリ言うわよ!』(TBS系)などのレギュラー番組を持っていたときには、出演料だけで毎月、億単位の収入があったといわれています」(別の芸能関係者) 確かに細木さんは、過去、本誌・女性セブンの取材に対して「1時間番組の出演料は600万円、特番の場合は1200万円」と明かしていた。テレビ出演料だけで“月収1億円以上”は嘘ではなさそうだ。これに書籍の印税や携帯サイト、講演活動での収入を加えると“月収10億円”は超えていただろう。しかし、細木さんはその収入の一部を自ら手放す選択をする。2008年のことだ。「ブームが一段落し、レギュラー番組がすべて終了したのを機に、テレビの世界から姿を消し、その後は出版や講演活動に軸足を置くようになりました。なので、晩年の細木さんを知る人は驚くほど少ないです」(テレビ局関係者) 占術家としてだけでなく実業家の顔もあった。「東京・神楽坂の一等地に4階建てのビルを持ち、京都には5000坪を超える広大な土地に寺院を建立し、“70億円寺院”といわれたこともありました。このほかにも東京と京都に複数の不動産を所有しています」(細木家をよく知る人物) 自身の才覚によって名声も財も手に入れた細木さんだったが、家族との縁は薄かった。「約60年前、細木さんが銀座でクラブを経営していた時代に、静岡の眼鏡店の男性と結婚しました。しかし、結婚生活は3か月ほどで破綻し、3年後に離婚しています。この結婚生活では子供に恵まれず、その後は結婚していません」(芸能リポーター) そのためか、細木さんは前述のように、子供ほど年の離れた芸能人やスポーツ選手を手厚く“支援”する親子関係を疑似的につくってきたのだろう。だが、細木さんの家族観に変化が表れる。「細木さんはもともと、終活を強く意識していましたが、築いてきた立場や財産を渡す相手を改めて考えて、養子を得ることにしたのです」(前出・芸能リポーター) そして、2016年に養子に迎えたのが、姪のかおりさん(42才)だ。「かおりさんは幼い頃から細木さんを“ばあば”と呼び、細木さんもほかの甥や姪よりもかおりさんのことをかわいがり、一時期は一緒に暮らしていたことも。細木さんは、早く結婚した方がいいというポリシーの下、かおりさんが中学2年生の頃から、お見合いさせていたそうです」(細木さんの知人) 14才からお見合いとは驚きだが、かおりさんは将来の伴侶と出会い、19才で結婚。その後も細木さんは折に触れて姪を気にかけていた。「わりと早くから“後継者に”と見込んでいたようです。でも、かおりさんにもかおりさんの生活がある。そこで、マネジャーとして仕事を支えてほしいと依頼し、かおりさんの快諾を得たのです」(前出・細木さんの知人) その後、細木さんは表舞台から去ると、あることをよく口にするようになっていた。私の寿命は、あと5年──。「昔から、講演会などで『80才になったら死ぬ』と繰り返してはいましたが、それが現実味を帯びてきたのでしょう。もともと、血糖値が高くなる傾向にあったのですが、それに加えて肺炎の兆候が何度も見えるなど、星の巡り以上に、体調の変化で悟るものがあったのでしょうね。それで、かおりさんに養子縁組をして娘になること、そして、占術家として後継者になることを求めたのです」(前出・細木さんの知人) 細木さんにはもう1つ、下していた決断があった。100%、娘へ 細木さんは以前から、税金をしっかり納めていることを、講演会やインタビューの場で語ってきた。「細木さんは、自らが何十億円も稼いでいると語りながら、『絶対に宗教法人の認証は取らない』と話していました。納税逃れとして見られる動きはせずに、国税庁に目を付けられないことを意識していたのでしょう」(前出・芸能リポーター) 終活を進めるにあたって、気が変わったのだろうか。養子縁組をした翌年の2017年には、関連団体を宗教法人にし、事務所が購入していた土地を、新設した宗教法人に“寄付”している。一般的に、会社法人が持つ不動産は課税対象だ。しかし、宗教法人の場合は所有する財産が課税対象にならないことがある。さらに、宗教法人が寄付を受けても贈与税は発生しない。税制上のメリットが受けられるのだ。「ただし、贈与する側とされる側の実態がほぼ同じ場合は例外です。細木さんのしていることは脱税ではないかと指摘されたことがありました」(前出・テレビ局関係者) それを知ってか、細木さんはこの宗教法人と自分自身とには深いかかわりがないと疑惑を否定してきた。その宗教法人の代表からは、細木さんのお別れの会に、あえて個人名義で大きな花が贈られていたが──。ほかにも、細木さんが取得してきた不動産のほとんどは、細木さんの事務所名義で所有している。その事務所の代表はかおりさんの夫が務めているし、細木さんは2018年に取締役から退いて経営から手を引いていた。「しかし、少なくとも細木さんが取締役を辞任するまでは、細木さんが事務所の大半の株を所有していました」(前出・細木さんの知人)。 この事実は、終活に当たってどのような意味を持つのか。夢相続代表で相続実務士の曽根恵子さんが語る。「会社の株を細木さんが持っていた場合、その会社の資産を個人の財産と同じように評価して、一株いくら、と計算し相続税を払う必要があります。仮に株を手放していても、贈与であれば分散して贈与をしていない限りは贈与税か法人税を支払わなければなりません。税逃れの抜け道はないのです」 それに加えて、「養子縁組は実子と同じ立場なので、細木さん個人の資産は、配偶者がいない細木さんの場合は、100%養子に相続されますね」 だとすれば、細木さんの終活は、単なる相続対策ではなく、母親として娘に何を残すかを考える、純粋な家族の時間だったのかもしれない。※女性セブン2021年12月2日号
2021.11.19 11:00
女性セブン
朝乃山の処分問題で元・朝潮に同情の声「弟子に恵まれない…」
朝乃山の処分問題で元・朝潮に同情の声「弟子に恵まれない…」
 週刊文春が報じた「緊急事態宣言中のキャバクラ通い」によって、5月27日の理事会での審議を経て処分が決まる見通しの大関・朝乃山。“厳罰”は避けられない見通しだが、そんななかで同情を集めている親方がいる。朝乃山を育て上げた錦島親方(元大関・朝潮)だ。昨年12月に65歳定年を迎えると「錦島」と名跡を交換して高砂部屋の部屋付き親方となったが、「先代高砂親方」もしくは「元朝潮」と呼んだほうがしっくり来るかもしれない。 高砂部屋の古参タニマチが語る。「今回の朝乃山も問題を認めてすぐ謝罪していれば厳罰を免れたかもしれないのに、協会の調査に嘘をついてコトを大きくしてしまった。過去の例を考えると3場所以上の出場停止で十両か幕下からの再出発になるだろう。朝乃山を大関にまで鍛え上げた先代高砂親方にしてみれば、“また育てた弟子に裏切られた”という思いだろう。とにかくこんなにも弟子に恵まれない親方はいない」 元朝潮の「不幸な親方人生」を象徴するのが横綱・朝青龍を巡る問題だ。25回の優勝を数える大横綱ながら、巡業を休んでモンゴルでサッカーに興じるなど、土俵外での素行の悪さがたびたび物議を醸し、最終的には飲酒して暴力事件を起こし強制引退に追い込まれた。そうした問題を起こすたびに元朝潮は監督責任を問われ続けた。現役時代は“大ちゃん”の愛称で人気の大関、引退後は一門の名を冠した高砂の名跡を受け継ぎながら、朝青龍の不祥事のたびに叱責・処分を受け、協会内では出世の道を絶たれてしまった。 昨年12月の定年時にリモート会見で師匠時代の苦労を訊かれ、「いろんな問題を起こす横綱もいた」「かばうにもかばいきれない。自業自得だよ。本人にもそう言っといて」と朝青龍への恨み言で報道陣を笑わせた元朝潮。ところが、その定年会見で「いろいろ(朝青龍のことで)苦労した。落ち着いてきたら朝乃山がタケノコのようにひょこひょこ伸びてきた」と、元々細い目をさらに細めた“孝行息子”が今回の事件を起こしてしまった。「先代高砂親方の管理責任が問われることはないだろうが、現在も高砂部屋の事実上のオーナーで、部屋の4階に住んでいる。年寄名跡を交換した現・高砂親方(元関脇・朝赤龍)をワンポイントに挟んで、やがては高砂部屋を愛弟子の朝乃山に継がせる構想だったが、その計画も白紙になってしまうかもしれない」(若手親方) 資金面でも大打撃だという。タニマチからの莫大なご祝儀を期待できるはずの朝乃山の大関昇進パーティーはコロナ禍のために開けないまま。昇進パーティーのご祝儀は育てた師匠と折半というのが角界の慣例だが、朝乃山が降格すれば元朝潮の懐に入ってくると見られていた数千万円もフイになってしまう。「本人の定年パーティーも宙に浮いているので、逸失利益は億をくだらないのではないか」(同前) まさに泣きっ面に蜂だが、「身から出た錆」と語る親方も少なくない。「人柄はとても良い半面、若い頃からとにかく苦労知らず」(ベテラン相撲記者)なのだという。「本人曰く、小学生時代から理数系が得意で、銀行員か教師を目指していたそうです。体格を買われて中学2年の時に相撲部の監督に無理やり出場させられた高知市の相撲大会で準優勝したのが相撲を始めるきっかけ。近畿大学時代の3年、4年と2年連続で学生とアマ横綱を獲得して相撲部屋のスカウトが殺到したが、近大相撲部の監督と当時の高砂親方(元横綱の3代朝潮)が同郷という縁で高砂部屋に入門した」(同前) 入門の理由についてはこんな説もある。「高砂部屋入りを決めた理由が、部屋所属の幕下の顔ぶれだった。中学や高校から入門する力士にとって、幕下付け出しの学生出身力士は目の敵にされやすい。当時の高砂部屋にはハワイ出身の高見山ら関取はいたが幕下は2人だけで、どちらも年を食ったベテラン。“これならいじめられる心配がない”と思ったのが高砂部屋を選んだ理由だといわれています。 そんな性格の師匠が弟子に厳しくできるわけがない。大相撲入りした時の会見では“今度はプロの横綱を目指します”と大風呂敷を広げて話題を集め、153kgの体躯を活かして番付を上げていったが、幕内に入ると負けが込み始めた」(同前) それでも大関に昇り詰めたのだから相撲の実力に間違いはなかったのだが、大らかで物事を深く考えない性格は変わらなかったようだ。現役時代から“大ちゃん伝説”は枚挙に暇がない。「額からガツンと当たるのが身上で、顔面からの流血も少なくない。土俵上で一番血を流した関取とも言われています。ただし“その取り口しかできなかった”からで、稽古ぎらいで有名。大関昇進の伝達式での口上は“大関の名に恥じぬよう、これからも一生懸命頑張ります”だったが、実は前夜に用意していた文句では冒頭に“これまでの10倍稽古に励み”が入っていた。大関になってから記者に突っ込まれるのを嫌がり、本人が直前に割愛したという逸話がある(笑)。 現役時代から“ウケ狙い”の発言が多く、勝ち始めると“サーフィンをやっていたから波に乗るのがうまい”とコメントして記者たちが失笑したこともある。大関時代には“ほたる川”のレコードや、『朝潮太郎・その土俵人生』という写真集も出した。どちらもほとんど売れなかったそうですが」(相撲ジャーナリスト) 親方になってからもマイペースは変わらない。 今回、高砂部屋を継承した朝赤龍が入門してきた時も、「青がいるなら赤でいいや」という理由でしこ名を決めたほど(朝青龍と朝赤龍はモンゴルから共に来日し、明徳義塾高校に入学。入門は朝青龍が1年早かった)。帰国治療する朝青龍の“監視役”としてモンゴルに同行した際はわずか35時間で一足先に帰国した挙げ句、会見で「(治療先は)いい温泉でした」と呑気に説明し、協会幹部や記者をズッコケさせた。 高砂部屋の元力士が語る。「親方はパイロットシャツをよく着ていますが、あれは全部オーダーメード。タニマチから頂くお仕立て券を利用しているそうです。子供の頃にパイロットを目指していた時期もあったとかで、その頃から気に入っていたらしい。親方にとってはこれが“正装”なんでしょうね。 高砂部屋の地下には24時間利用できる大浴場があって、親方は朝風呂を1時間以上楽しむ。ここでスポーツ新聞を隅から隅まで読んでいる。地方場所では漫画を持参して近所の銭湯に通うのが日課でした」 朝青龍の一連の騒動の中でもこれだけは続けていたというが、朝乃山の醜聞も持ち前の“大ちゃんキャラ”で乗り越えるのだろうか。
2021.05.25 16:00
NEWSポストセブン
好角家の神田川俊郎さんが横綱・白鵬に遺していた熱き声援
好角家の神田川俊郎さんが横綱・白鵬に遺していた熱き声援
 4月25日、料理人の神田川俊郎さんが大阪市内の病院で亡くなった。新型コロナウイルスに感染し、治療を受けていたという。81歳だった。神田川さんといえば、毎年3月に開催される大相撲大阪場所には毎日観戦に訪れ、向正面に座る姿がNHK中継に映し出されるのが恒例だった。 好角家の神田川さんは、『週刊ポスト』の取材に何度も答え、大相撲に対する考えや思いを語っていたが、なかでも「世間の白鵬に対する評価が低すぎる」という持論が注目された。昨年12月の取材では、白鵬と鶴竜(当時は現役)の2横綱が“休みすぎ”と批判されていたことに関して「日本人力士の責任だ」とかばっていた。「白鵬に休場明けで簡単に優勝されているのが情けない。代わりになる存在がいないのに、相撲協会も“引退しろ”などと言えた義理じゃありませんわ。いま一番問題なのはこの2横綱に勝てる日本人力士が出てこないことです」と断じたのである。 2010年の朝青龍の暴行事件、翌年の八百長問題発覚などの不祥事が続き、相撲人気が低迷した時代に土俵を支えた白鵬の功績を神田川さんは高く評価していた。「朝青龍が事件を起こして廃業したとき、一人横綱として15場所も土俵を守り、そのうち10場所も優勝した。この貢献度も忘れるべきじゃないね。横綱のカチ上げや張り差しは褒められないが、体力低下をカバーする策ですからね。全否定は可哀想ですわ。失言や(優勝インタビュー時の)三本締めは盛り上げようとしてやったことで、角界のことを一番心配している男ですからね。相撲協会もやらないジュニア大会を主催して、将来の横綱を育てようとしている。凄いことだと思いますよ。義理堅いし、相撲のことを四六時中考えているような男ですわ。白鵬を超える横綱が出るまで、引退を迫るべきじゃないと思う」 また、現在44回を数える優勝回数は「50回に届く」とも語っていた。2018年の取材では、「体の艶や張りを見ても東京五輪で土俵入りをやったあとも綱を張っている可能性は高いでしょうね。日本人力士はほんまドングリの背比べですわな。幕内を見渡しても、綱を締める可能性がある日本人力士がいない。候補の名前が浮かびませんもの。横綱の条件は心技体といわれますが、貴景勝、御嶽海、阿武咲にしても、根性だけは横綱級ですが、技と体ということでは横綱とは程遠い。特に技の面では横綱相撲とはいいがたい。駆け上がって来た頃は、幕内上位で土俵を盛り上げてくれると期待はしたが、やはり大関止まりちゃいますか」と語っていた。 実際、東京五輪が開催されていたはずの2020年夏を過ぎても、新たな日本人横綱は誕生していない。“大関止まり”ばかりの日本人力士には、料理人らしいたとえを交えて、こんなふうに苦言も呈した。「昔のお相撲さんの稽古に比べて、今のお相撲さんは甘い。魚でいうたら養殖ですわ。天然魚は荒波を乗り越えて、岩に当たりながら自分で餌を探さなあかんが、今のお相撲さんは決まった時間にたっぷりと餌がもらえる養殖魚ですわ。もうちょっと厳しくやったほうがいい。厳しくやるとパワハラや暴力問題になるが、外国出身力士は子供の頃から厳しくされ、異国で頑張るしかないと思ってやっている。そりゃ勝てませんわ」 そんな神田川さんに“史上最強の横綱”を聞いたことがあるが、答えはやはり「白鵬」だった。「うちの店を歴代の横綱たちが贔屓にしてくれています。北の湖は仲が良かったし、輪島、貴ノ花、初代若乃花もよく来てくれました。そういう人たちに申し訳ないですが、やはり白鵬がナンバーワンじゃないですかね。白鵬と大鵬とは似ているが、少し違う。大鵬のほうが体は少し柔らかいと思うが、白鵬のほうがひと回り大きい。(対戦すれば)パワーに勝る白鵬が勝つんじゃないですかね」と評価していた。 神田川さんは白鵬の大阪後援会「白金会」の最高顧問でもあった。パーティで挨拶に立つと、「白鵬とかけて何と解く。7点と9点の間と解く。その心は、今日からますます発展(8点)ということです」と笑いをとるのが恒例だったが、会場で角界関係者に白鵬を売り込むことも忘れなかったという。 右ひざ手術で5月場所も全休し、7月場所に進退を懸けることになる白鵬。天から応援する神田川さんに恩返しできるか。
2021.05.08 07:00
NEWSポストセブン
モデルの市川紗椰が元関脇・安美錦にインタビュー(時事通信フォト)
業師・元安美錦に聞いた「朝青龍から金星4つをあげられた理由」
 大の相撲ファンであるモデル・市川紗椰が、関取在位117場所という歴代1位タイの記録を残し、2019年に引退した元関脇・安美錦(現・安治川親方)にインタビュー。現役時代の“業師ぶり”や朝青龍からの金星について、とっておきの話を聞いた。市川: 業師・安美錦はいつ生まれたのですか。安治川:業師かなァ? 魁皇関の上手投げみたいに何か代名詞あります?(笑い)市川:ご謙遜を。型がないところこそが業師ですよ。決まり手の数も多いし。安治川:育った青森に体の大きい子があまりいなくて、頭をつけて相手の技を封じる相撲を取るのが主でしたからね。それが活きたのかもしれません。市川:作戦は結構考えていたんですか?安治川:最初は取組の流れをフローチャートみたいに考えていました。でも途中で飽きまして(笑い)。その後は相手の一番重要な点を頭に入れて体に任せました。昔は攻略しがいのある力士がいて楽しかったですね。朝青龍関とか。市川:その朝青龍関からは金星4つ。どうしてそんなに勝てたんですか。安治川:出稽古とか巡業で弱点を見つけて、本場所で倒したんです。何場所もかけて。市川:えっ、何場所も?安治川:今ならもう言ってもいいかな。彼は張り差し気味に上手を取りに来る時、立ち会いで左の脇が空く時があって、そこを突いたんです。でもいきなり右を差して警戒されたら次はないので、4場所くらい左おっつけ、左前褌狙いで布石を打った。そしてある時いきなり差し手を変えて、左脇を狙って、立ち会いから一本差して走ったんです。一発で決まりましたね。この作戦で2場所(2007年夏、名古屋)勝ちました。元は取ったかな(笑い)。市川:すごい!安治川:朝青龍関は気迫を出してくるタイプなので、飲まれないよう淡々と仕切ってみたりとか。今は似た力士はいないけど、こうした心理戦でも土俵を盛り上げてほしいです。市川:本当ですね。【プロフィール】安美錦竜児(あみにしき・りゅうじ)/1978年生まれ。青森県出身。最高位は東関脇。生涯戦績は907勝908敗。三賞受賞は技能賞6回を含む12回。金星は8個に上る。多彩な取り口が魅力で、繰り出した決まり手は45。引退後は年寄「安治川」を襲名し、部屋付き親方として後進の育成に携わる。2022年5月に断髪式を行なう。【プロフィール】市川紗椰(いちかわ・さや)/1987年2月14日生まれ。愛知県出身、米国・デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。身長168cm。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』(集英社刊)が好評発売中。取材/鵜飼克郎 撮影/藤岡雅樹※週刊ポスト2021年3月19・26日号
2021.03.13 11:00
週刊ポスト
高砂親方は定年でもある悩みを抱えているという(写真/共同通信社)
定年の高砂親方 後継者に“朝青龍の後輩”を指名した事情
「大ちゃん」の愛称で親しまれた高砂親方(元大関・朝潮)が、12月9日の65歳の誕生日で、相撲協会の定年を迎える。 両横綱が全休した11月場所では、愛弟子である大関・朝乃山の優勝が期待されたが、ケガで3日目から休場。寂しい定年場所となった。「定年後も再雇用で協会には残れるが、制約があって部屋は持てない。正規雇用の親方と年寄株を交換し、部屋を継がせることになる」(担当記者) 高砂部屋の部屋付き親方である若松親方(元前頭・朝乃若)と錦島親方(元関脇・朝赤龍)のどちらが継ぐか注目を集めていた。「高砂親方はギリギリまで明言せず、近大の後輩である若松親方が継ぐとみられていたが、指名されたのはモンゴル出身の錦島親方だった」(同前) 高砂親方といえば、暴行事件で廃業に追い込まれたモンゴル人横綱・朝青龍に悩まされた。錦島親方は明徳義塾出身で朝青龍の後輩だ。「入門時には、“青がいるから赤も”ということで朝赤龍の四股名になった。高砂親方が角界屈指の名門部屋の看板を“朝青龍の後輩”に譲ったことに驚く関係者もいる。ただ、朝青龍を反面教師とする錦島親方は常識的で大人しい性格。将来的に部屋は朝乃山が継ぐのが既定路線で、それまでのワンポイントを了承したようだ。一方の若松親方は、近大出身の後輩にあたる朝乃山に年寄株を渡す“つなぎ役”では、メンツが立たなかったのではないか」(若手親方) 将来を見据えた判断とはいえ、苦労もある。 海外出身の部屋持ち親方は武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)、友綱親方(元関脇・旭天鵬)らの例があるが、「高砂」の名跡を継げば一門をまとめる“総帥”となる初のケースだ。「今はコロナで中止されているが、一門の連合稽古などを取り仕切る立場となる錦島親方やおかみさんの職責は重い。錦島親方の場合、部屋を切り盛りすることになる奥さんもモンゴル出身で戸惑うことも多いかもしれない。同じ一門の八角理事長(元横綱・北勝海)とともに、高砂親方が定年後も折に触れてサポートしなくてはならない」(同前) 定年消滅は世の流れだが、協会の再雇用も楽隠居とはいかないようだ。※週刊ポスト2020年12月11日号
2020.12.01 07:00
週刊ポスト
鶴竜は直近の7場所で6回休場しているが…(時事通信フォト)
2場所連続全休の両横綱に引退勧告しない横審の存在意義とは
 大相撲の毎場所千秋楽の翌日に開催される横綱審議委員会は、横綱推薦やその他、横綱に関する様々な事柄について答申や進言を行う組織として1950年4月に発足した。同年初場所で東富士、羽黒山、照国の3横綱が揃って途中休場したことをきっかけに、有識者による諮問機関として設立された。「初代委員長は酒井忠正氏(元伯爵、貴族院議員)で、作家の舟橋聖一氏や尾崎士郎氏ら錚々たるメンバーが、成績の上がらない横綱に“自ら進退を決せよ”と警告するなどした。横綱は興行の主役だから、延命させたい協会と意見がぶつかりもしたが、ドイツ文学者の高橋義孝委員長(1981年10月~1990年10月)や読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄委員長(2001年1月~2003年1月)ら、重鎮が厳しく意見する組織として存在した」(ベテラン記者) だが、9月場所後の横審では白鵬や鶴竜への「激励・注意・引退勧告」などが俎上に載るも、具体的な決議はなかった。2場所連続で全休している両横綱は、途中休場を含めて白鵬が最近7場所で5回、鶴竜は7場所で6回の休場だ。休場の理由としているケガが毎回違う鶴竜、負けが込むとすぐに途中休場する白鵬には、本来なら協会や師匠の親方、そして横審が意見すべき状態だ。 横審委員長経験者はどうみるか。千葉大学名誉教授の守屋秀繁・元委員長(2015年1月~2017年1月)は「私が委員長なら、なにかアクションを起こしたでしょうね」と話す。 2010年に横綱・朝青龍が暴行事件を起こした際のことを、当時委員だった守屋氏はこう振り返る。「臨時の横審があり、委員長の鶴田(卓彦)さん(元日経新聞社長)が怒って“引退勧告書を書こう”と言って、紙にサラサラと文章を書いたんです。元新聞記者だけに、文章はうまかったですね。それを“署名をしてもらいたい”と言って回すんです。もちろん僕も署名した。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)に渡したところ、“正式には受け取れない。預かりにさせてほしい”という話になった。 そのうちに、高砂親方(元大関・朝潮)が朝青龍を協会に連れてきた。千代の富士(当時の九重親方)が説得して3人で委員会の席にやってきて、高砂親方が“いま、引退を表明しました……”という話になった。もちろん暴行事件と休場は違いますが、今回も(横審は)動いたほうがいいと思いますよ。横綱に推挙する役割があるのだから、上げるだけでなく辞めさせる時も責任を持ったほうがいい」煙たがられる存在が必要 2017年1月~2019年1月に委員長を務めた北村正任氏(元毎日新聞社長)は、横綱・日馬富士の暴行事件に際して、「引退勧告に相当する」と進言した。 北村氏は「今やっている(横審の)方々がいらっしゃるからね……」と慎重な口調だったが、事件当時を振り返りながら、「あの時は、みんなの意見をよく聞いて結論を出した。今回も横審として何かモノを言うべきだとは思いますね」と話した。 そして、「(横審は)“煙たいと思われる存在”でないといけないと思いますよ」と付け加えた。 前出・守屋氏は取材の最後、寂しそうに呟いた。「相撲? もう愛していないですよ。横綱不在のなかで日本人横綱が誕生するのではなく、横綱を倒して強い日本人横綱に誕生してもらいたい。相撲ファンの共通した思いじゃないかな……」 国技の危機に、誰かが声を上げるべきでないか。※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号
2020.11.17 16:00
週刊ポスト
曙、小錦、朝青龍、白鵬らヒール役になった外国人力士たち
曙、小錦、朝青龍、白鵬らヒール役になった外国人力士たち
 プロスポーツでは「試合に勝つ選手が人気者」であることが常だが、他の追随を許さない強さ故に、ファンからの声援は少なく、珍しく敗れたときは相手に大歓声が送られる者が出現する。だが、大相撲の世界では、強すぎてヒール扱いされる力士が必ずいる。 貴乃花、若乃花(三代目)、魁皇らと同じ1988年初土俵の曙。優勝11回、横綱通算432勝はライバル・貴乃花をしのぐ。ハワイ出身の外国人初の横綱で、初土俵から30場所での横綱昇進は貴乃花より11場所も早かった。「貴乃花との対戦成績は21勝21敗と五分だが、若貴兄弟との巴戦(1993年7月場所)では、長いリーチを生かした突っ張りで2人を秒殺。瞬間最高視聴率66.7%が証明するように兄弟対決は国民の夢だったが、それを曙は2連勝で打ち砕いた」(相撲担当記者) その巨体で日本人力士を跳ね返したハワイ出身の先輩・小錦は、「相撲はケンカ」と発言し、“黒船来襲”と騒がれた。大関として3場所で2回優勝し、優勝同点も2回経験したが、「連続優勝」の内規が厳格に適用され、横綱昇進を果たせず、人種差別問題にも発展した。 実力も、トラブルメーカーとしても規格外だったのは、モンゴル出身で初の横綱・朝青龍。歴代4位の25回の優勝を誇るが、不祥事により29歳で引退に追い込まれている。史上最長タイの7連覇の記録もあるほどの実力者だった。「張り差しやけたぐりを繰り出しては批判され、壊し屋としても有名だった。2007年3月場所での稀勢の里との一番では、張り手の応酬の末に、送り投げで土俵中央に転がし、その後にひざ蹴りを見舞って問題になった。稽古場では若い衆に吊り落としやヘッドロックなどのプロレス技をかけることで知られていた」(相撲担当記者) 歴代最多となる通算43回の優勝を誇る白鵬も、横綱審議委員会からの批判がありながら、立ち合いでカチ上げを繰り返すなど、品格を理由に「引退後の一代年寄襲名は難しいかもしれない」(同前)といわれている。ほかにも優勝インタビューでの「万歳三唱」「三本締め」などでも物議を醸す。※週刊ポスト2020年4月3日号
2020.03.24 16:00
週刊ポスト
白鵬でも6位なら上位は誰なのか(時事通信フォト)
史上最強の横綱1000人アンケート 白鵬6位、双羽黒15位
 長く続いた白鵬一強の時代が終わりを迎えるのか? 世代交代を担う力士は誰なのか? 春場所(3月8日~)に向けて関心が高まる。振り返れば過去の名横綱たちは、同時代のライバルと鎬を削り、突き上げる世代交代の波と戦いながら、最高位にのぼりつめた。ならば“最強の中の最強”は誰か。読者1000人と各界の好角家たちが選んだ。◆直線の柏戸、曲線の大鵬 1位は圧倒的な支持で大鵬。優勝32回(うち全勝8回)、6連覇2回と圧倒的な記録を残した。「巨人、大鵬、卵焼き」と呼ばれた子供の頃の人気者の記憶は、半世紀経っても強く残っているようだ。「少年雑誌の表紙は、ONか大鵬と決まっていた」(65歳自営業) 好角家として知られるコメディアンの大村崑氏(88)も深く頷く。「これまで大勢の力士を見てきましたが、やはり最強は大鵬です。立ち合いでは相手を真っ正面から受け止め、どんな展開になっても負けなかった」 大鵬の連勝記録は歴代4位の45だが、芥川賞作家の高橋三千綱氏(72)は「本当ならもっと連勝していた」と語る。 46連勝が懸かった1969年春場所の戸田との一番。押し込まれた大鵬は、土俵際で際どく突き落とし。軍配は大鵬に上がったが、物言いがつき、行司差し違えで戸田の勝ちに。「しかし、翌日のスポーツ新聞には、戸田の足が先に出ている写真が掲載された。“世紀の大誤審”で、翌場所から判定にあたりビデオが参考にされるようになりました」(前出・高橋氏) 名横綱には必ずライバルがいる。大鵬のライバルといえば柏戸(11位)。元NHKの大相撲実況アナウンサーで、現在は東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏(89)が言う。「私はラジオ中継で“直線の柏戸、曲線の大鵬”と表現しましたが、土俵の丸みを生かすのが大鵬で、一直線に持っていくのが柏戸だった。全盛期の大鵬戦となると互角以上の勝負をしていました」「柏鵬時代」の後に訪れたのが、玉の海(12位)と北の富士(14位)の「北玉時代」。70年初場所で13勝同士で優勝決定戦に臨んだ2人(優勝は北の富士)は、場所後、揃って横綱に推挙された。「玉の海が横綱になった翌年に急逝した(享年27)ときはショックだった。生きていれば北の富士と長く名勝負を見せてくれたはず」(69歳会社役員) 2人の幕内対戦成績は北の富士の22勝21敗とほぼ互角だった。◆北の湖に勝ち越した輪島「北玉」の後に台頭してきたのが、「憎らしいほど強い」と称された北の湖(3位)だ。1974年7月名古屋場所後に21歳2か月の史上最年少で横綱に昇進し、優勝は24回。「滅多に負けないからこそ、負けた時は盛り上がる。先代の貴ノ花が結びの一番で北の湖を寄り切って初優勝した時は興奮した」(61歳会社員) その北の湖と渡りあったのが、元学生横綱の輪島(9位)。“黄金の左腕”から繰り出される下手投げは強烈で、北の湖に23勝21敗と勝ち越している。 2位になった千代の富士は1981年初場所、優勝決定戦でその北の湖を倒して初優勝。この一番が黄金時代を築くきっかけとなった。「小さな体で大きな北の湖の前まわしに食らいくつ姿は、まさにニックネームの“ウルフ(狼)”そのもの。強引に寄りに出た北の湖を上手出し投げで倒して初優勝した時の、国技館の大歓声はすごかった」(58歳会社員) 抜群のスピードとバネの強さを武器に、全盛期には5年間で優勝20回。53連勝も記録した。 同時代に千代の富士とともに綱を張ったのが、双羽黒(15位)と隆の里(20位)。隆の里は糖尿病と闘いながら、苦労の末に30歳で最高位にまで昇りつめ、苦労人の代名詞ともいえるNHK朝ドラ『おしん』にかけて“おしん横綱”と呼ばれた。 対照的だったのが“新人類”と呼ばれた双羽黒。1986年夏場所の優勝決定戦で千代の富士に敗れたが、優勝経験のないまま横綱に昇進。師匠と大喧嘩して仲裁に入った後援会長とおかみさんにケガを追わせて失踪し、廃業。「2m近い(199cm)の恵まれた体で、精進していたら千代の富士にも負けない大横綱になっていたに違いない」(55歳会社員)◆唯一ランクインした「大関」 千代の富士に引退を決意させたのが、貴乃花(4位)だった。 入幕4場所目の1991年夏場所で初対戦。千代の富士が強引に首を押さえ突き落とそうとしたが、足腰の強さで残した貴乃花(当時貴花田)が体を預ける形で寄り切って初金星を上げた。千代の富士に「体力の限界」と言わしめたのはあまりに有名だ。 貴乃花の前に立ちふさがったのが、ハワイ出身で身長203cm、体重235kgの巨漢力士・曙(13位)。この時代は貴乃花の兄で“若貴フィーバー”を巻き起こした若乃花(三代目、17位)、曙と同じハワイ出身の武蔵丸(19位)の4横綱が鎬を削った。「終盤戦で4横綱が星を潰し合い、大関には貴ノ浪、千代大海、出島がいて、三役常連にも魁皇(16位)、琴錦、武双山、栃東ら実力者がひしめいていた。その中で22回優勝した貴乃花は高く評価できます」(前出・高橋氏) 16位に選ばれた魁皇が横綱になれなかったことが、この時代のレベルの高さを物語る。さらに貴乃花は、世代交代の壁としても立ちはだかった。 飛ぶ鳥を落とす勢いの朝青龍(8位)が新大関となった2002年名古屋場所で横綱・貴乃花と対戦するも、上手投げで完敗。思わず朝青龍が「チクショー!」と叫んだ。貴乃花の引退後、白鵬(6位)、日馬富士、鶴竜らが台頭し、モンゴル時代に突入する。 現役で唯一ランクインした白鵬は優勝43回、幕内通算1053勝など数々の歴代記録を塗り替えている。6位に甘んじたことに料理人の神田川敏郎氏(80)は首を傾げる。「白鵬がナンバーワンであることは、数字が物語っている。なぜこの順位なのか、理解できません」◆大鵬が負けるはずがない さらに時代を遡れば、白鵬がいまだに塗り替えることができない唯一の記録である69連勝を戦前に築いた双葉山(5位)の存在がある。 終戦を挟み、「栃若時代」を築いて戦後の大相撲を支えた、“土俵の鬼”若乃花(初代)が7位、“マムシ”栃錦が10位にランクイン。落語家のヨネスケ氏(71)が懐かしむ。「栃錦のスピードある立ち合いから右上手を取っての出し投げは天下一品だった。一方、若乃花は力業で豪快に相手を投げ飛ばす。街頭テレビから、家庭でテレビが見られるようになった時代で、2人はヒーローだったね」 それぞれの時代を象徴する名横綱たちが、もし時空を超えて戦ったら誰が勝つのか──。NHKが昨年8月に放送した「どすこい!夢の大相撲 令和元年AI場所」は大反響を呼んだ。 日本IBMが開発した「どすこいAI」に現役時代のデータを入力。CGで対戦するという企画で、若乃花(初代)や玉の海ら往年の名横綱が甦り、“大将戦”では大鵬、貴乃花、白鵬の3人が巴戦で激突した。結果は白鵬が2勝、貴乃花が1勝1敗、大鵬は2敗。AIは白鵬が“史上最強”と判断した。 アンケートで白鵬を推した前出・神田川氏は、「白鵬は体がひと回り大きく、パワーに勝る。この結果は順当です」と納得の表情だが、多勢を占めたのは、「大鵬が白鵬に負けるはずがない」という声だ。 同番組に出演していた漫画家のやくみつる氏(60)が語る。「AI相撲では白鵬が左からの突き落としで逆転勝ちしましたが、腰の重い大鵬が土俵際で逆転を食らうはずがない。私が見てきたなかでは最強で、北の湖、千代の富士、貴乃花とやっても大鵬が勝ちますよ」 前出・高橋氏も言う。「大鵬は白鵬のようなカチ上げや張り手を使わず、受けて立つ相撲であれだけ強かった。実際に戦ったら、差し身の早い大鵬が左四つに組み止め、すくい投げか上手投げで決めると思う」 この“最強神話”を超える名横綱は、今後現われるのだろうか。※週刊ポスト2020年3月13日号
2020.03.04 07:00
週刊ポスト
炎鵬は各界きっての人気者(時事通信フォト)
明生、剣翔、照強ら九州場所で注目のガチンコ平幕力士たち
 両横綱が休場した大相撲9月場所、優勝争いに絡んで二桁勝利をあげた明生(前頭2、24)は気鋭の若手の筆頭格だ。「奄美大島出身で、小学6年時に全国大会優勝を経験。中卒で入門したが、初土俵を踏むはずだった2011年3月の春場所が八百長問題で中止となり、5月にNHK中継もない技量審査場所で初土俵を踏んだ。それだけに、ガチンコを貫くことに人一倍の思いがある。立浪部屋の弟弟子で、朝青龍の甥っ子である豊昇龍(十両13、20)が成長して稽古相手ができたこともあって、一気に力を伸ばしている」(担当記者) 今場所2日目に白鵬から金星をあげた大栄翔。「剣翔(前頭7、28)をはじめ、角界の“最大学閥”である日大出身の力士が多い追手風部屋の所属で、色々としがらみがあるのではと心配もされてきたが、最近では埼玉栄の後輩であるガチンコの貴景勝(大関、23)に感化されているようで、上位陣には激しい相撲を見せて結果を残している」(同前) 平幕力士のなかでも一番人気といえば、花道に姿を見せるだけで声援が飛ぶ炎鵬(前頭6、25)だろう。幕内最軽量の168cm、99kgの体格ながら、2場所連続で勝ち越しを続けている。「力士が大型化するなかで活躍する小兵の姿は“技のデパート”として人気を博した舞の海(元小結)を彷彿とさせます。しかし、立ち合いで“お見合い”となることが多かった舞の海に対して、炎鵬はどんな相手にも真っ向からぶつかって変化をしない。当たってから背後に回って送り出したり、相手の懐に潜り込んでの下手投げや右からのひねりで仕留める。その取り口から“ひねり王子”と呼ばれています。平幕力士のなかではダントツに懸賞金が多く、対戦相手も必死で潰しにくるだけにケガが心配です」(若手親方) 同じく小兵(169cm、116kg)ながら土俵を沸かせるのは照強(前頭14、24)だ。「淡路島出身で、阪神淡路大震災の当日の生まれということで南あわじ市のふるさと応援大使に任命されています。中卒で入門し、すぐに幕下に上がったものの、十両に上がるまで5年かかった苦労人。水戸泉(元関脇、現・錦戸親方)を思い起こさせる大量の塩を撒く仕切りが人気で、“新ソルトシェーカー”の異名を持ちます。スタミナ抜群で稽古熱心。伊勢ヶ濱部屋の先輩で40歳まで現役を続けた安美錦(元関脇、現・安治川親方)を心から尊敬しているそうです」(同前)◆白鵬に“反抗”した度胸の持ち主 プライベートの充実が土俵上での発奮につながっていると話題なのは豊山(前頭9、26)だ。「部屋の先々代の親方にあたる時津風・元理事長の現役時代の四股名『豊山』を継ぐほどに期待されながら、今年3月の春場所後には十両陥落を経験した。そこから2場所で連続して勝ち越し、9月の秋場所で再入幕を果たした。その9月場所の番付発表の当日に、入籍を発表したのです。大相撲の世界では『金星』は美人を意味する隠語でもありますが、幕内力士として結婚発表できるよう奮起したのでしょう。9月場所も10勝5敗の成績をあげ、再び番付を上げてきた」(ベテラン記者) 5月場所後に結婚披露宴を行なった竜電(前頭5、29)も注目力士のひとり。「中学卒業後、すぐに初土俵を踏み“初の平成生まれの大関候補”と期待されながらも、ケガを重ねて一時、十両から序ノ口にまで番付を落とした。そこから復活し、昨年の初場所で新入幕にたどり着いています。小結まで昇進した7月場所では負けが込んで番付を下げたが、“浮き沈み”の激しい相撲人生を歩んできただけに、ここからまた浮上が期待される」(同前) 対して、“スピード出世”で注目されたのは今年の3月場所で初土俵から11場所での新入幕を果たした友風(前頭3、24)だが、今場所は2日目に右膝を負傷し、翌日から休場となった。 その友風を病院送りにした琴勇輝(前頭4、28)は、同じ佐渡ヶ嶽部屋の琴恵光(前頭7、27)とともに、叩き上げのガチンコ力士として知られる。「琴勇輝は体を反らせ“ホオッ!”と奇声をあげる独特の仕切りが人気です。それに嫉妬したのか以前、白鵬が力士会で“犬じゃないんだから、吠えるな”と叱りつけたが、それでもしばらくはやめようとしなかった図太さがある。琴恵光は祖父が立浪部屋の元十両・松恵山。祖父の相撲道場で鍛え上げ、真面目な性格で弟弟子からの信頼も厚い」(前出・担当記者) 今場所最注目株だったのが若隆景(前頭16、24)。「母方の祖父は元小結・若葉山で、父は立田川部屋の幕下力士だった若信夫。幕下・若隆元、十両・若元春という2人の兄とともに、荒汐部屋に所属する生粋の相撲一家の力士」(同前) 初日から4連勝をあげていたが、4日目の照強との一番で古傷の右足首を痛め休場してしまった。大関返り咲きを目指していた関脇・栃ノ心(32)も4日目の宝富士(前頭3、32)戦で珍手の“首捻り”で勝ったが、右わき腹を痛め休場となった。「ガチンコ力士は最後まで力を抜かないために土俵下に転落したり、無我夢中で強引な技を繰り出すためにケガが多い。星の潰し合いが増えることで終盤まで優勝争いがもつれ込むのもガチンコ場所ならではの展開です」(同前) ふがいない相撲ばかりの上位陣よりも、個性溢れる平幕力士たちのほうが、後半戦の土俵を沸かせていくことになりそうだ。※週刊ポスト2019年11月29日号
2019.11.19 07:00
週刊ポスト
78歳の新IT担当相、「違法ネット動画に高評価」疑惑への弁明
78歳の新IT担当相、「違法ネット動画に高評価」疑惑への弁明
「在庫一掃内閣か」とも揶揄される第四次安倍再改造内閣で、最も不安視されているのが、78歳にして初入閣した竹本直一・IT担当相。「はんこ議連」のメンバーということもあってか、デジタルとはんこの共栄を目指すと発言したり、就任早々、自身の公式サイトが閲覧できないトラブルで釈明に追われたりするなど、「USBを知らなかった桜田義孝元五輪相の二の舞か、と官邸は気を揉んでいる」(官邸担当記者)という。 竹本氏は建設省(現・国交省)出身で当選8回。大阪・富田林などを地盤とする選挙区(大阪15区)では、46歳の維新の浦野靖人氏(近畿比例)と接戦を繰り広げており、「SNSを活用する浦野氏を意識してかネットでの自己PRに熱心です。最近も小泉純一郎元首相や元横綱・朝青龍との写真を公開していた」(地元関係者)という。 だが竹本流ネット活用術が思わぬ騒動を引き起こしてもいる。自身の公式YouTubeアカウントで、政府が対策に取り組む違法アップロード(海賊版)の動画に「高評価ボタン」を押していたことが発覚し、ネット上を中心に問題視されているのだ。 動画は京都アニメーションが制作し、2016年に放送されたテレビアニメ『無彩限のファントム・ワールド』で、女子高生のキャラクターが胸を揺らしてリンボーダンスに挑む一場面だ。ITジャーナリストの新田ヒカル氏が解説する。「動画の説明文には京都アニメーションや放送局の許諾を受けている記載がないため、著作権を侵害する違法なものでしょう。それを視聴し、〈高評価ボタン〉を押したことで、違法アップロード行為を肯定したと捉えられても仕方ない」 竹本氏の事務所に聞くと、「代議士は動画を見ておらず、〈高評価〉も押していない」と弁明した。では誰が押したのか。「現在、事務所内で該当者を探していまして……」 ずいぶんITに疎い部下がいるようである。国民から“低評価ボタン”を押されても仕方あるまい。※週刊ポスト2019年10月4日号
2019.09.20 16:00
週刊ポスト
ここ数年は休場も多い白鵬(時事通信フォト)
大鵬が白鵬に負けたNHK『AI場所』にベテラン親方大荒れ
「歴代最強の横綱」は誰なのか? 相撲ファンなら誰もが気になる論争に答えを出したのが、NHKで放送された『どすこい!夢の大相撲 令和元年AI場所』(8月9日)である。 好角家の有名人らが3チームに分かれ、歴代横綱の中からドラフト形式で各チーム3人を選出。日本IBMが開発した“どすこいAI”に現役時代のデータを入力し、各チームの作戦に応じてCGで対戦するという企画で、初代若乃花―朝青龍(小股すくいで若乃花の勝ち)、北の湖―曙(押し倒しで曙の勝ち)といった時空を超えた“夢の取組”が次々と実現し、多くの相撲ファンを喜ばせた。 が、そんななか“座布団が舞った”のが大将戦である。優勝回数32回の大鵬、22回の貴乃花、そして42回で現役の白鵬という大横綱3人が巴戦で相まみえたが、白鵬が大鵬に突き落とし、貴乃花には上手投げで2連勝したのだ(残りの一番は貴乃花が大鵬を寄り切り)。 番組を見ていたあるベテラン親方は大荒れだったと、部屋の所属力士が明かす。「うちの親方は、“大鵬が得意の両差しになって白鵬に負けるわけがない”と力説していました。貴乃花親方だって得意の右四つから上手を切られて投げられて負けるなんて考えられない。親方はNHKが現役横綱に気を使ったんじゃないかって勘繰っていました」 好角家で知られる芥川賞作家の高橋三千綱氏も、「大鵬の本当の強さを知らない偏差値世代がやっているんでしょうが、時代時代で強さの在り方は違う。ナンセンスですよ」 と納得いかない様子。こうした声に、番組に出演した漫画家のやくみつる氏はどう答えるか。「私は今も大鵬が一番強いと思っていたし負けたのは残念でしたが、相撲ファンが侃々諤々と議論してきた“仮想対決”が、実現するというのは新鮮でいいんじゃないですかね」 大鵬にはぜひ、次の“AI場所”でリベンジを期待したい。※週刊ポスト2019年8月30日号
2019.08.20 16:00
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埋まらない溝が生じたことも(共同通信社)
元横綱・朝青龍 祝儀を巡って親方と大喧嘩した過去
 角界のカネを巡る慣習は、一般社会の常識からするとかなり独特なものだ。名古屋場所前に開かれた貴景勝の昇進パーティで、父が“祝儀2700万円を強奪した”と報じられたのも、本来は親方がすべてを差配するものという慣習と異なるために噴出した騒動だった。「昇進パーティのようなイベントごとは部屋にとって臨時収入の大チャンスです。力士の結婚式なども同じで、親方夫妻が“親代わり”となって、実の両親は“ゲスト扱い”になる。そこでも集まった祝儀のだいたい6割を親方が持っていくが、もちろん明文化された決まりはないから、親方と力士の間で揉め事に発展することもある」(元力士) 2004年に当時の横綱・朝青龍が、今回と同じ新高輪プリンス(当時)で結婚披露宴を行なった際も、祝儀の分け方などを巡って高砂親方(元大関・朝潮)と大喧嘩する騒動が起きている。 朝青龍の場合は、番組出演料など1億円を税務申告していなかったことが発覚。約3000万円を追徴課税されている。「一事が万事そうで、たとえば十両になった力士が後援者から作ってもらう明け荷や化粧まわし、関取に贈られる幟も、親方を通しての発注が慣例。実際にかかる代金に上乗せした分をピンハネする親方衆がいる。 そういう中抜きが横行する世界ですから、“集めたカネを部屋の関係者以外の第三者が数えてチェックするなんてあり得ない”という考え方になるのです」(同前)※週刊ポスト2019年8月2日号
2019.07.23 16:00
週刊ポスト
貴景勝の父「祝儀2700万円強奪」の真相と角界ごっつぁん体質
貴景勝の父「祝儀2700万円強奪」の真相と角界ごっつぁん体質
 カド番で迎えた名古屋場所で「無念の休場」を選択し、秋場所で10勝をあげての大関復帰を目指す貴景勝。しかし、不在の場所中に思わぬ騒動が起きた。場所前の昇進パーティで父・佐藤一哉氏が“祝儀2700万円を強奪した”と報じられたのだ。騒動の裏側を追っていくと、税務当局も重大な関心を寄せる「角界とカネ」の実態が浮かび上がってきた。 22歳にして“次の日本人横綱”と期待され、来場所で怪我からの再起を期す貴景勝。その相撲界への道を後押ししてきたのが、父・一哉氏だった。兵庫・芦屋で生まれ育った貴景勝は、保育園経営などに携わる一哉氏の“スパルタ教育”のもと、小学校の頃からわんぱく相撲の全国大会で上位入賞し、中学・高校は相撲強豪校に進学。角界入りを果たした。 騒動の舞台となったのは、親子にとって晴れの舞台となるはずの大関昇進披露宴だった。名古屋場所前の6月16日に東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた披露宴には、八角理事長(元横綱・北勝海)ら協会幹部、親方衆、後援者ら2000人以上が祝福に駆けつけた。 だが、場所中になって、この披露宴の「カネ勘定」を巡る騒動が発覚する──。『週刊新潮』(7月18日号)が〈「貴景勝」ご祝儀2700万円の“強奪者”〉と題した記事で、披露宴で集まった祝儀を一哉氏が持ち帰ったことに、所属する千賀ノ浦部屋の親方や関係者が不審の念を抱いていると報じたのだ。 記事では、昇進披露宴は〈あくまで相撲部屋が主催〉〈収入は力士個人のものではない〉(前掲記事より、以下同)といった“角界の常識”が紹介されている。力士を育てるために投資してきた部屋の恩義に報いる趣旨から、祝儀の取り分は〈親方6対力士4が相場〉であるにもかかわらず、一哉氏が会場にALSOKの警備員を引き連れてやってきて、〈ホテルからお金を勘定する紙幣計算機を借り、その場で現金を数え、ホテルの使用料だけ払って後は持っていってしまった〉という顛末が報じられている。  同誌によれば当日、警備会社のチェックのなか集計された祝儀は計約4200万円で、ホテルの会場代約1443万円がその場で支払われ、残りの「約2700万円」を一哉氏が持ち帰り、パーティの諸経費を支払った。千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)には300万円の謝礼が支払われたという。協会関係者はこういう。「この騒動は、お金を巡る角界の慣習と一般社会の常識が大きく食い違っていることが、表面化したものだといえるのではないか」◆親方の取り分はノータックス? 昇進パーティや結婚式などイベントごとは部屋にとって臨時収入で、親方夫妻が親代わり、実の両親はゲスト扱いになり、祝儀の約6割を親方が持っていくことが多いと言われる。さらに、それら祝儀を“どんぶり勘定”にして「どれだけカネが集まったか」「そのうちのいくらを誰が持って行ったのか」といったことを不透明にする──それは即ち、税逃れにもつながっていく。元力士はこういう。「引退相撲はケースバイケースで、“あがり”は第二の人生のスタート資金としてすべて引退力士に渡す親方もいるが、ひどい親方はそれも6割を持っていく。引退相撲は公にチケットを売るから税務署もその収入がきちんと申告されるかに目を光らせているが、親方が抜いた分はノータックスにして税金はすべて引退力士が納めるというケースもあった」(同前) こうした角界のカネを巡る旧態依然とした慣習は、税務当局から何度も摘発の対象となってきた。 2004年、祝儀の取り分を巡って高砂親方(元大関・朝潮)との騒動が起きた朝青龍の結婚披露宴はテレビ中継されたが、2007年にその際の番組出演料など1億円を税務申告していなかったことが発覚。約3000万円を追徴課税されている。他にも、週刊ポストのスクープがきっかけで陸奥親方(元大関・霧島)が年寄株取得のために後援会から提供された資金や引退相撲の祝儀など、5年間で2億2000万円の申告漏れを指摘されたこともある(1999年)。「角界には“ごっつぁん”という感謝を表わす言葉があるが、一般的な社会常識とはかけ離れた経理のずさんさを象徴する言葉になってしまっている」 そう語るのは、『大相撲の経済学』の著者で、相撲協会の公益財団法人化に向けた改革策をまとめる「ガバナンスの整備に関する独立委員会」の副座長を務めた慶応大学商学部の中島隆信教授だ。「国税や管轄の税務署は、今回の貴景勝の昇進パーティのような例もきちんと注視しています。親方であれ力士であれ、祝儀を受け取ったことがわかれば、それが収入として申告されているか調べることになる。だからこそ、収支はガラス張りにすべきだが、なかなかそうならない。 親方の権限が非常に強い世界なので、親方が“角界の慣習だ”といえばそれが通ってしまう。協会の幹部が部屋の親方を兼ねているから、力士より親方の都合を優先する組織になっている。そうした旧態依然の体質を変えるため、『ガバナンスの整備に関する独立委員会』として様々な提言をしたが、力不足で変革に至らなかった」◆「親代わり」か「実の親」か 結局、角界の慣習を知らない貴景勝の父・一哉氏が一般社会の常識で集めた祝儀を管理・カウントし、分け方を決めた結果、期せずして角界の暗部に踏み込んでしまったということなのか。一哉氏は週刊ポストの直撃に対しこう答える。「私が祝儀を“強奪”したという記事は読みましたが、全くのデマです。そもそも会場のホテルと契約したのは私で、それを祝儀から支払っただけ。私は親方と打ち合わせした約束通りにやっただけです。詳しいことは親方に聞いてください。私からそれ以上のことは答えるつもりはありません」 一方、名古屋市内にある場所中の宿舎で千賀ノ浦親方は直撃すると、「今回のことは何もコメントするつもりはないので。どこにもお答えしていません。お金が絡むことだし……」とするのみ。“角界の慣例”が世間の常識からかけ離れているのではないかとも聞いたが、無言のままだった。 今回の騒動は、角界で長く温存されてきた“慣習”がいよいよ曲がり角に差し掛かったことを示しているようにも見える。前出の協会関係者がいう。「中学を卒業する前から弟子入りして部屋から学校に通い、大横綱に育ててもらった北の湖・元理事長のような時代なら、部屋の親方夫妻はまさに“親代わり”ですが、今はそんな例はない。貴景勝に限らず、親が小さい頃から英才教育に熱心で相撲取りにするというケースも増えるでしょう。いつまでも閉ざされた世界の“慣習”が通用する時代ではなくなるだろう」 ファンの期待を背負う貴景勝が、古き慣習が生んだ騒動に惑わされず、大関復帰を果たすことを願いたい。※週刊ポスト2019年8月2日号
2019.07.22 11:00
週刊ポスト
貴景勝は「横綱になれない」致命的弱点をデータで徹底分析
貴景勝は「横綱になれない」致命的弱点をデータで徹底分析
 令和の幕開けとなる夏場所(5月12日初日)。初土俵から28場所で日本人力士最速の大関昇進を果たした22歳の貴景勝には、早くも「日本人横綱」への期待がかかる。だが、これまでの全取組329番を詳細に分析すると、不安材料も少なくない。「175cm(幕内平均184.7cm)と上背のない貴景勝は立ち合いで下からのぶちかましで相手の体を起こし、休まず攻め続けて圧倒する押し相撲が身上。金星狙いの平幕ならそれでいいが、綱を張るにはどうなのか」 ある若手親方がそう評価するのも無理はない。 貴景勝がこれまで積み上げた213勝のうち、まわしを取る決まり手による白星は十両時代に「寄り切り」(2016年5月場所)と「寄り倒し」(同11月場所)が一番ずつあるだけ。残りの211勝がまわしを取らない決まり手という典型的な突き押し相撲だ。 過去、突き押し相撲を武器に横綱になった力士は存在するが、いずれも四つ相撲でも勝負できた。「八角理事長(元横綱・北勝海)も突き押し相撲で横綱に登り詰めたが、左四つでも強かった。長いリーチで“若貴”を圧倒した曙も、右四つからの上手投げを得意としていたし、強烈な突っ張りがある朝青龍や日馬富士は、離れて速攻でよし、組んでよしの自在の取り口を武器にしていた。 一方、大関で突き押し一辺倒を貫いた力士はいずれも横綱にはなれていない。たとえば、千代大海はカド番14回のワースト記録の保持者で、公傷制度(本場所でケガをした翌場所は休場でも番付が落ちない=現在は廃止)がなければ在位2場所の最短大関になったはずといわれたほど。“せいぜい十両クラス”と言われる貴景勝の四つ相撲が上達しない限り、綱取りは厳しい」(別の若手親方) 組み止められて長い一番になると勝率は極端に下がる。貴景勝の取組時間を分析すると、5秒以内だと勝率64.2%だが、20秒超えでは36.4%だった。四つに組める上位陣にも負けが込みがちだ。 わかりやすいのが先場所11日目の横綱・白鵬との取組だ。頭で当たった貴景勝が何度も突き放そうとするが、白鵬が左右の張り手でしのぎながら右四つに組み止めると、即座に上手投げで仕留められた。白鵬は優勝会見でこの取組にわざわざ触れ、「それなりに四つ相撲も覚えないといけないな」と余裕の“アドバイス”をしてみせた。貴景勝が今後横綱を狙う上での大きな課題なのだ。 ただし、まったく活路がないわけではない。土俵上にも時代の流れがある。幕内の決まり手を見ると平成元年(1989年)は、最も多い「寄り切り」が全体の34.9%、続く「押し出し」が16.9%だったのが、平成30年(昨年)は「押し出し」(25.1%)がトップで、「寄り切り」(23.9%)を上回っている。「力士の大型化もあって、御嶽海、北勝富士ら突き押し相撲の上位力士が増えた。小兵ではあるが、貴景勝の今後は“平成までの常識”だけでは見通せないでしょう」(協会関係者) 前例を覆して“新常識”を作り出す日本人横綱の誕生をファンは待ち望んでいる。※週刊ポスト2019年5月17・24日号
2019.05.07 11:00
週刊ポスト

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