タワマン開発エリア「3分の2ルール」の抜け穴
また、行政サイドとしては人口が増えれば徴収できる住民税や固定資産税が増える。
マンションデベロッパーにとっては「儲かる」、行政側は「人口増」という大きなメリットが生まれるタワマン開発も、その周辺で穏やかな暮らしを営んできた住民にとっては迷惑以外の何物でもない。日陰になったり、強力なビル風にさらされたりするケースもある。
またそのタワマンが開発されるエリア内に、土地や建物を所有していた人はどうなるのか。タワマン建設に賛成する人はいいだろう。自分の権利分を完成したタワマンの住戸と交換することで、新たな住まいを入手できる。
しかし、タワマン建設に反対する人はどうなるのか。さらに、そのエリア内で住まいや店舗を賃借して住んでいる人、商売をしている人はどうなるのか。
結論から言えば、開発エリアの3分の2以上の地権者がタワマン開発に賛成した場合、残りの人々は賛成側に回るか、もしくは最後まで反対する場合は第三者が査定する額で土地などの権利を売り渡さなければならない。賃借人は最終的に追い出されてしまう。
この「3分の2ルール」は2016年の法改正に基づくものだが、抜け穴がある。「3分の2」は権利者の人の数が母数になるのだ。
ある開発では、デベロッパー側がわずか84平方メートルの雑居ビル敷地を30筆に刻み、借地人を水増しする手法を使って「3分の2」をクリアした。つまり、開発側がやろうと思えばそういったかなりイレギュラーな手法を駆使してでも強引に再開発の認可を取り付け、タワマンを作れてしまうのだ。