電動アシスト付き自転車で走るフードデリバリーの配達員(時事通信フォト)
「ウーバーに限らず目的外利用の人には遠慮してもらってます」
沿道のコンビニ店員はきっぱり答えてくれた。もしかしたら縁石に座る二人は以前、ここを追い出された口かもしれない。コンビニのイートインで待機する配達員はいるのかという疑問には、同県の別の駅前にあるコンビニでも同じ回答を得られた。「ここウーバーだめ」と日本語学校に通うネパール人店員の青年もこれまたきっぱり答えてくれた。
「とにかく長いんだよ、ずーっといるの、あれで金になるのかね、迷惑だしどっか行ってほしい」
都心や地方の中核都市はともかく、地域によってはリクエストが少なく依頼を待つ時間が長くなる。
子連れウーバー「散歩といっしょです」
埼玉のさらに東部、のどかな私鉄駅前の店主も声を荒げる。そこにはぽつんと一人、ウーバーの青年。ロータリーの縁石にしゃがみこんでスマホとにらめっこ、大きなウーバーバッグと一体化して、まさに地蔵だ。
「ありがたくない地蔵だな」
散々な言われようだが、ウーバーイーツと関係ない店からしたら近場に居座られて迷惑なわけで当然だろう。地蔵は本来、釈迦入滅後に末法を迎えた人間界に身をやつし、56億7000万年後に弥勒菩薩が降臨するまで路傍で頑張って地蔵をしている菩薩様(地蔵菩薩本願経より)なので、ウーバー地蔵も末法に頑張る地蔵と考えればありがたいような気がするが、新宿東口のマクドナルドで20人はいるであろう集団ウーバー地蔵とか目の当たりにするとちょっと自信ない。やっぱりありがたくないかもしれない。全員がそうではないのだが悪目立ちが過ぎる。
「いや、困ったな、たまたま乗ってるだけですよ」
副都心の繁華街、電動アシスト自転車の地蔵の前カゴには小さなお地蔵様が乗っていた。子どもを乗せてることを問われてまずいと思ったのか、バツが悪そうに笑う。
「空き時間利用してやってるだけです。家に誰もいないから、散歩といっしょです」