国内

「ウーバー地蔵」急増 都心の「子連れウーバー」は大丈夫か

池袋駅周辺で待機するウーバーイーツの配達員ら(時事通信フォト)

池袋駅周辺で待機するウーバーイーツの配達員ら。各地で似たような待機する配達員の姿が見られる(時事通信フォト)

「地蔵」とは地蔵菩薩のことで、おとぎ話の「かさ地蔵」を思い浮かべる人も多いだろう。吹雪の中にたたずむお地蔵様のためにおじいさんが笠をかぶせて差し上げる話だが、最近では、その場から動けない地蔵の特徴を捉え、動くべきときにじっとしている人、たとえば野球でデッドボールをまったく避けない打者やライブやフェスで周囲の盛り上がりを無視してじっと立っているだけの客のことを「地蔵」と呼ぶ。新型コロナウイルスの感染拡大を経て様々な出来事が新しくなったが、新たな「地蔵」が誕生していた。俳人で著作家の日野百草氏が、「ウーバー地蔵」とその出現に戸惑う人たちについてレポートする。

 * * *
「いつもあそこにたむろってんだ、怖いよ」

 多摩のとある市街地、華やかな北口とは対照的に怪しい店が並ぶ南口、場外馬券場近くの店主が声をひそめる。

「そりゃこの辺、元から治安がいい方じゃないけどさ、自転車やら原チャリやらでたむろってんのは迷惑だね」

 たむろっているのはウーバーイーツの配達員(配達パートナー)だった。見ればまだあどけない顔つきの若者ばかり。髪の色も思い思いに染めて、ピアスやタトゥーのやんちゃな子といった風だ。

「この辺はウーバーと契約している外食チェーンが多いからさ、それ目当てで待ってるんだよ」

 店主が顔をしかめる。こういったウーバーイーツの配達員の行動を「地蔵」と呼ぶ。筆者の地元のマクドナルドも地蔵が数人いる。若者から高齢者まで、大きなウーバーバッグを持ってスマホとにらめっこだ。店がみずから行う出前なら配達員は店で待機できるが、ウーバーイーツには待機所がない。フードデリバリーの中には待機所を拠点として用意されることもあるが、そういった事例は少数派だ。そのため、配達員はおのおのが次の配達に有利だと思う場所で勝手に待っている。

 ウーバー地蔵のことは埼玉県南東部の住宅街でも聞いた。ただの住宅街なのにウーバーの若者が二人ほど、縁石に座ってスマホとにらめっこ。

「迷惑だけど怖くて言えません。家の前といっても公道だし……」

 住宅街を一歩出ると県道にチェーン店がポツポツある。ここは点在する飲食店の中間点、ちょっとした三角状の空き地があるので地蔵をするのに便利なのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン