そのうえで広澤氏は、「外から見る巨人」と「中で感じる巨人」には大きな差があったと振り返る。
「確かに巨人の特権はあります。例えば、放映権の問題でナイターが多いとか。でも、実はそんなに特別扱いというのはなくて、例えば甲子園で試合する時に使う芦屋のホテルに行く場合、新幹線で新大阪まで行き、あとは在来線の新快速です。夕方なら満員の中、立ったまま電車に揺られて、駅に着いてからは徒歩です。阪神の地元でその扱いですよ(笑い)。
だから、中に入ってみると普通のチームです。それに、選手たちは補強で他球団から選手が移籍してくることに慣れているから、昨日の敵は今日の友という雰囲気で、世間が思っているよりは受け入れることはスムーズです。むしろ壁を作ってしまうのは入ってくる選手のほうで、勝手に作り上げてしまったジャイアンツ像が邪魔してしまうんですね。
私の経験では、むしろ生え抜きとか外様とかを気にするのは阪神のほうですね。地元のマスコミが生え抜きの若手を持ち上げる傾向もあるからでしょう」
今年のオフも多くの選手が国内や海外に移籍することになる。それぞれチームカラーもチーム事情も異なるが、置かれた場所で咲けるかどうか、プロにはその適応力も求められるということだろう。