キセキでJCに参戦する角居勝彦調教師
ということで、前走天皇賞(秋)で5着に踏ん張ったキセキに一角崩しを期待する。これまで2度の海外遠征も含めて25戦、うちGⅠが13戦。勝ったのは3歳時の菊花賞だけだが2着が4回。2年前のJCではアーモンドアイに差されたものの、自身2分20秒台で駆け抜けている。前走のような瞬発力勝負は分が悪いかもしれないが、タフさでは引けを取らない。昨年の有馬記念ではアーモンドアイにも先着している。
3強に次ぐ支持を集めそうなグローリーヴェイズ。前走京都大賞典ではキセキの追撃を振り切った。2016年のキタサンブラック、2017年のシュヴァルグランが同じローテーションで戴冠。この馬だって父と曾祖母が三冠馬だ。
もう1頭、前走GⅠという条件を満たすのが外国馬ウェイトゥパリス。記録によれば4走前のガネー賞では今年の凱旋門賞馬ソットサスの頭差2着。その次のGⅠサンクルー大賞を勝っており、これがジャパンカップの褒賞金指定競走だとか。もし勝てば優勝賞金の他に、300万ドルが交付されるそうだ。2018年の凱旋門賞(19頭中11着)以外多頭数のレース経験がないが、鞍上のM・デムーロといえば2008年9番人気のスクリーンヒーローを思い出す。このレースはその年NHKマイルカップとダービーの変則2冠を達成したディープスカイ、天皇賞(秋)で宿敵ダイワスカーレットを破ったウオッカ、前年の有馬記念馬マツリダゴッホ、前走菊花賞を勝ったオウケンブルースリ、GⅠ4勝で凱旋門賞帰りのメイショウサムソンなど、なかなかのメンバーが揃っていた。
JCは1着賞金が3億円と国内レース最高。3着でもGⅡ勝ちより高い7500万円だ。「一角崩し」にはそれだけの価値がある。とはいえ、あくまでも「一角崩し」。アーモンドアイはGⅠ8勝という金字塔を打ち立てた後の引退レースで前走から中3週。コントレイルは陣営も認めるように2400mが適距離とはいえない。デアリングタクトは今年の3歳世代のレベルがどうなのか・・・・そんな疑念はぐっと抑え、このレースが行なわれる時代に競馬ファンであったことを喜びながらレースを見たいと思う。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。