ビッグコミックで巻頭カラーを飾った『JUMBO MAX』の下絵。愛用のペン類と共に
「人間って、シモと、メシと、睡眠。三大欲求があるじゃない。でね、肉体が普通に傷みかけてきた“50代の人間”って、実は、生物としては要らないんじゃないか、なんてことを思ったんですよ。
だって、生殖はアウト。メシにしても、美味しいものを追っかけたりとかはもういいかなと思うようになった。毒じゃなければいいし。残るは、眠ることだけが楽しい……みたいな(笑)。
それって平等に誰にでもあること。現代だから何となく生かされちゃって、病気も治されちゃって。でも、ちょっと待ってくれよ、って思いがあるじゃない。そうなってくると、生きてるだけで賞賛されるべきことだ!と言いたくなったんだよね。それが同世代へのメッセージですよ」
次のステージで発表する『JUMBO MAX』では、すべて、新しい描き方をしているという。
「これまで以上に『顔』と『セリフ』に重きを置いているんです。わかりやすい例だと、見開き(2ページ分の大画面の決め絵)を描いていない。衝撃を与えるような絵で勝負、という考えは捨てている。その代わりに、面白いセリフを書こうとしています。だから、ネーム(話作り&コマ割りを記した下書き)に時間をかけて丁寧に作っている。
それと、背景を思い切り減らしています。人物同士の距離がわかればいいや、って。背景を減らすと、より人の表情に目が留まるんですよね。いまの俺は、おっさんたちの言葉と顔をしっかりと見せたいんです」