アトキンソン氏が関わった日光東照宮陽明門の修復(2017年、時事通信フォト)

アトキンソン氏が関わった日光東照宮陽明門の修復(2017年。時事通信フォト)

 前原の話に出てくる福田とは、経営コンサルタントの福田隆之だ。成長戦略会議のメンバー、竹中平蔵のブレーンであり、2018年11月まで菅官房長官補佐官を務めていたことは前回書いた通りである。

 安倍晋三前政権は「悪夢のような民主党政権」と散々批判してきたが、それでいて空港や水道の民営化といった経済政策は民主党政権時代に考案されたものである。また、ある厚労省の官僚はこう指摘する。

「民主党時代の2009年から内閣官房地域活性化統合事務局長として官邸入りしていた和泉(洋人現首相補佐官)さんが安倍政権でインバウンドを引き続き、やろうとしたわけです。とつぜん民泊を法制化しろ、と言い出した。1週間で何とかしろ、と指示され、外国人向けの宿泊施設を増やすための法整備に取り組んだのです」

 和泉は菅にとって横浜市議時代から政策を頼ってきた懐刀だ。いまや官房副長官の杉田和博と並び称される菅政権の“忠臣官邸官僚”である。

「宿泊施設については、もともと旅館業法によって厚労省が所管してきたので、厚労省に仕組みづくりが降りてきたわけです。海外ではたとえば英国の民泊営業上限が90日となっているが、それでは民泊業者のうま味がないので、日本の民泊は180日に上限を設定。ホテルや旅館から反対が出ないギリギリのラインでした」(同厚労省の官僚)

 住宅を所管する国交省と厚労省の合作法案として住宅宿泊事業法、通称民泊新法が2017年に閣議決定され、2018年から施行された。ビザの緩和と併せ、インバウンドを後押ししたといえる。そうして民主党の前原案をそのまま安倍前政権に移植したのがインバウンド政策であり、そこには、むろんアトキンソンの貢献はない。

二つの顔を併せ持つ

 アトキンソンは英オックスフォード大で日本学を専攻し、1990年に来日した。2007年までゴールドマン・サックスの日本経済担当アナリストとして勤務し、そのあと2009年11月に小西美術工藝社に取締役として入社した。

 小西美術工藝社は1957年に創業され、日本の神社仏閣の漆塗彩色金箔補修を担う。入社翌年の2010年6月に会長に就任。社長を兼務したあと、2014年4月以降は社長に専念してきた。アトキンソンは名うての「外資系アナリスト」と「日本の文化財を守る老舗企業社長」という二つの顔を併せ持つ。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン