スポーツ

チャンピオンズC クリソベリルは「JBCの呪い」から逃れられるか

競馬を続けるためには「馬券を買う姿勢」が重要だという

臨戦過程がもたらす影響は小さくない

 多士済々のメンバーとなった砂の頂上決戦。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

 * * *
 JCダートとして始まってから過去20回で、1番人気馬が7勝2着6回3着3回。訳の分からぬうちに始まった第1回(2000年)。ローマンレジェンドが4着だったものの、ニホンピロアワーズ、ワンダーアキュート、ホッコータルマエという実力馬3頭で決まった2012年。そしてなぜかこのレースになるとおとなしかったコパノリッキーが着外に去った2014年と2015年。1番人気が馬券圏内から外れたのはこの4回だけだ。

 今年は牡牝とも強い三冠馬が誕生、スプリンターズSからの秋競馬でも1番人気馬が7連勝、これまでの19回で13勝もしている。例年この時期までの1番人気馬は5勝か6勝というのが平均的。ここ10年では2010年の9勝というのが目立つぐらいだ。無観客、入場制限による影響があるのだろうか。いずれにせよ、国内で8戦8勝、このレース連覇を狙うクリソベリルにとっては、鬼に金棒といったデータだが、さて、「JBCクラシックの呪い」から逃れることができるだろうか。

 2001年にアメリカのブリーダーズカップを範にし、地方交流レースとして創設されたジャパンブリーダーズカップ(JBC)。その中でも、2000mを基本とするクラシックは、ダート路線の王道だ。

 優勝馬はずっとJRA所属馬。ちょうどチャンピオンズカップ(JCダート)の1か月前ほどに行なわれるため、前哨戦としてはもってこいで、ダートの雄といわれたアドマイヤドンやヴァーミリアンは3連覇を、スマートファルコンやコパノリッキーは連覇を果たしている。

 過去19回の勝者のうち、チャンピオンズカップ(JCダート)に駒を進めた16頭うち9頭が1番人気に推されたが、連勝を果たした馬は2007年のヴァーミリアンただ12着4回3着3回と上位に来ている馬は多いが、2014年のコパノリッキー、2017年のサウンドトゥルー、2018年のケイティブレイブは二桁着順だった。

 逆に2013年にJBCクラシックを制したホッコータルマエは、JCダートで3着に敗れたが、翌年はJBCクラシックで4着ながら、(この年から)チャンピオンズCを勝っている。JBCクラシックで2着以下になりながら、このレースを勝っているのは4頭。2015年に12番人気で勝ったサンビスタも、JBCレディースクラシック2着から大逆転勝利だった。

 適性もあるのだろうが2010年、2011年と連覇したスマートファルコンは、JCダートを使わず東京大賞典を連覇。

 周知のようにJBCは強い馬と、中央では1、2勝クラスの地方馬が一緒に走る。時には前を行く5、6頭とだいぶ離された5、6頭という二つの競馬が同時に行なわれていると言われることさえあるのが地方交流レースだ。

 実力馬は何頭かかわせば前に他の馬がいない景色を見ることができてしまう。1か月前に、一発を狙う伏兵馬の存などを気にすることなく、比較的ストレスの少ないレースをしたことがマイナスに作用してはいないか。

 一方、JBCの2、3着馬は、最後の直線で勝ち馬を前に馬を目標に懸命に追われて走っている。本番1か月前、何よりの調教になったかもしれない。もちろんスタッフも「次は何とか巻き返す」と意気込む。 

 昨年JBCクラシックを勝ちながら、14戦目のチャンピオンズCで初めて馬券圏内からはずれたチュウワウィザードは、今年JBCクラシックで3着。このレースを含めクリソベリルには3戦3敗だが、前走では1、2着馬のペースメーカーになってしまった印象。しかし、かわされてもしぶとく食い下がって3着を確保。休み明けだっただけに、ひと叩きした効果も見込めそうだ。トサキクオリティ、そろそろ存在感を見せてほしい。

 クリソベリルとの馬連、馬単を厚めにしつつルメールが見限ったかたちになる曲者たち、エアアルマス、ゴールドドリーム、モズアスコット、タイムフライヤー。さらに松若騎手が手の内に入れた感のあるサンライズノヴァにも流したい。カフェファラオは種牡馬アメリカンファラオへの期待が現時点では大きすぎはしないか。2番人気馬が過去20回で2勝3着1回だけで3着内率がが3~8番人気以下という「2番人気馬の呪い」も実は気になっている。

 過去20回のうち1番人気馬が13回連対していても馬連が1000円以下だったのは3回だけ、3連単の1万円以下は2回しかない。1番人気馬は尊重しつつ、三連単の2着3着付けや、ワイドなども織り交ぜながら楽しめばいいレースだ。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト