コロナ重症化の際には「レムデシベル」が投与されることも(EPA=時事)
現在の医療現場では、軽症ならアビガン、重症ならレムデシビルが投与されることが一般的とされる。関西福祉大学教授(渡航医学)の勝田吉彰氏が解説する。
「いずれもウイルスの増殖を抑える目的の薬で、理論上は症状の軽重にかかわらず使えます。ただ承認を受けているレムデシビルは供給量に限りがあるため、重症者に限定して投与されている」
死亡率が36%下がった
もし罹患したらどんな薬を選べばいいか――。その情報に最も接近しているのが治療現場でその効能とリスクを肌で感じた医師たちだ。彼らに「自分が感染したら投与を希望する薬」を聞いた。前出の後藤氏が語る。
「日本では“国産”という安心感からアビガンがよく使われますが、“ひょっとしたら効くかも”と試験的に使われているのが実情です。残念ながら効いている実感は得られていない。僕は患者になっても使わないですね。同じ抗ウイルス薬でもレムデシビルは『重症患者に早めに投与すると効果がある』という海外の治験データがあるので、自分も重症化すれば投与を検討すると思います」
レムデシビルと並ぶもう1つの承認薬「デキサメタゾン」を挙げる医師も多かった。新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師が語る。
「デキサメタゾンはオルベスコと同じくステロイド薬ですが、研究結果と実績が違う。オルベスコは“コロナにも効くかもしれない”というレベルですが、デキサメタゾンは海外で重症者に使った場合、死亡率を36%下げられたという論文も発表されている。とくに肺炎が進んだ場合は効果が期待できるので、私自身、重症化したら使用したいと考えています」