小池都知事はどう対応するのか(時事通信フォト)
ドイツやカナダなどの研究では、小児の感染は無症状や軽度のため見逃されることが多く、そうした小児を介して家庭で感染するリスクが高いと指摘された。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんがいう。
「第3波では家庭内感染の割合が増加し、感染経路が不明なケースも目立ちます。特に高齢者は家庭内と施設での感染が増えており、市中で感染した若者や子供が同居する年長者に感染を広げている可能性があります」
年末年始は「同居」する家族以外にも危機が迫っている。年末年始の連休中は「帰省」が多い。Go Toでは、帰省のついでに実家近くの旅館やホテルに泊まれば旅費に補助が出るので、積極的に帰省することをすすめている。そもそも帰省とは、若者世代が移動して故郷の老親の元に帰るものだから、「高齢者のGo To利用自粛」はまったく歯止めにならず、若者層は“帰省し放題”だ。
それこそ、せっかく家の中で自粛している高齢者のところにウイルスを運ぶことになり、「帰省感染爆発」さえ誘発することになりかねない。それぐらいのことを、なぜ国や自治体は想定できないのか。それとも、自民党の有力政治家の支援者である旅行業界にお金を落とすために、あえて見て見ぬフリを決め込んでいるのか。理解に苦しむ。
シニアの隔離生活で死者が増加する
懸念されるのは、「65才以上は旅行自粛」という政府の方針が「老人は家に閉じこめておくべき」との誤ったメッセージとなることだ。
「高齢者が外出を控えて家に閉じこもると、適切な医療を受けられず持病が悪化したり、運動不足で身体的機能や認知機能の低下が見られる『フレイル』になる恐れがある。社会生活から疎外され、人と話さないことでうつ病や認知症を発症するリスクも高まります」(中村さん)
東日本大震災の際、仮設住宅に長期避難した高齢者は、避難しなかった高齢者より運動不足や精神的ストレスの度合いが大きく、死亡率が増加したとの研究がある。新型コロナでも、シニアの「隔離生活」が続くと、健康状態の悪化や死者の増加を招く恐れがあるのだ。
※女性セブン2021年1月1日号