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2020.12.14 11:00  女性セブン

看取りの専門家「生き尽くした末の自然な死は苦しくない」

(写真/GettyImages)

怖いのは”死”そのものよりも、その過程で味わう“苦痛”(写真/GettyImages)

 老親がそう遠くない未来に迎える最期のとき。家族にとっては寂しいことだが、必ず訪れる人生のゴールで、親が有終の美を飾る瞬間だ。恐れや悲しみに暮れることなく、心穏やかに見守りたい。

 そのためにも、人の死がどのように訪れるか、どんな準備が必要か、知っあておくことが大切だ。訪問医療を推進し、これまで2000件を超える看取りを行ってきたホームオン・クリニックつくば院長の平野国美さんに聞いた。

生き尽くした末の自然な死は苦しくない

 漠然と考える死はやはり怖い。それは(当然だが)、経験者が周囲にいないからだろう。さらに現代人は、身近な人が老い衰えて亡くなる一連の流れに接する機会も少ないから、唐突に訪れる見えない恐怖のように感じるのだ。しかし人が何より恐れるのは、死そのものよりも、そこに至るまでに味わうかもしれない“苦痛”ではないかと、平野さんは言う。

「実は、自然な死の間際には苦痛はほとんどなく、むしろ夢見心地のようになります。それは死に向かうときに現れる3つの現象によるものといわれています」

 まず寿命が近づいてくると食べなくなる。体内に炎症性の物質が増えて食欲もなくなり、消化のためのエネルギーも乏しくなる。すると体内にケトン体と呼ばれる物質がたまる。ケトン体には多幸感が得られる作用があるのだ。また、呼吸が浅くなるため二酸化炭素がたまり、意識障害を起こす。いわば天然の“麻酔”状態だ。

 そして極めつきは「エンドルフィン」。苦痛から解放するために生理的に分泌されるもので、ランナーズハイと同じ状態。幻覚作用があり、亡くなった人がお迎えに来たり、花畑や三途の川を見たりするというのも、この脳内麻薬のせいだといわれている。

「これは、命を生き尽くした末に訪れるもの。がんや心・肺疾患、認知症などきっかけになる病気があっても、それらにより生体が衰弱して、最期は同じ境地に至ります」

 がんに関しては、医療麻薬が使えるなどの緩和ケアのしくみもあり、苦痛なく過ごせる体制が整っている。

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