芸能

「紅白で最もしゃべった司会者」堀尾正明 台本は429ページ

左から合田さん、田中さん、堀尾さん

合田道人さん(左)、田中稲さん(PC画面、中央)、堀尾正明さんにとっての「紅白」とは?

 いよいよ迫ってきた大晦日の『NHK紅白歌合戦』。今年の紅白は無観客となるが、どんなステージが展開されるのか? 紅白での司会経験もある元NHKアナウンサーの堀尾正明さん、紅白ウオッチャーで昭和歌謡ライターの田中稲さん、紅白歌合戦研究家で作家・音楽プロデューサーの合田道人さんの3人が、紅白について語り合う。

──そもそも皆さんにとって紅白とは?

堀尾:私は2008年までNHKのアナウンサーをしていましたが、アナウンサーにとって紅白の司会は、目標の1つで夢の舞台でした。私はスポーツや報道畑だったので自分が司会をするとはまったく想像していませんでしたが、第55回(2004年)に、紅組が小野文惠アナ、白組が阿部渉アナ、総合司会が年長の私という、全司会をアナウンサーが務める地味な回を任されたんです。

 この年は中越地震があって、新潟が地元の小林幸子さんがいつもの派手な衣装を自粛。着物姿で『雪椿』をトリで歌い、韓流ドラマの『冬のソナタ』が大ヒットし、オファーしたペ・ヨンジュンさんに断られ、代わりにイ・ビョンホンさんが出演したのもいい思い出です。

──NHKが不祥事に揺れた年でもありましたね。

堀尾:「会長やめろコール」など批判も多く、受信料不払いも結構ある中、「明るいキャラクターでやってみろ!」と、ぼくに白羽の矢が立った。総合司会は第1回からありますが、本来出番が少ないのに、ぼくは歴代最もしゃべった総合司会になったようで、台本は429ページもありました。

合田:21時から2時間45分放送される“昭和の紅白”に比べ、堀尾さんが総合司会をした“平成の紅白”は7時30分からの2部制でしたから、台本が分厚くなりますよね。

 ぼくの場合は、新聞記者だった父が、ぼくが2才のときにオープンリールのテープレコーダーを買い、その年の流行歌とともにぼくの成長記録を残そうと紅白を毎年録りためていたのがきっかけです。以来、紅白に興味を持って研究し、本も何冊か出させてもらいました。

田中:わが家では12月31日は家族そろって紅白を見るのが幼い頃からの定番でした。それで、大学時代から本格的にハマり、2000年頃からはブログに紅白の感想を書いて、年賀状代わりにみんなに送りつけるようになりました。実は合田さんの著書『紅白歌合戦の舞台裏』は愛読書で、いまでも私のバイブルなんです。

合田:それはうれしい(笑い)。ぼくが2才ではじめて録音した第14回は、北島三郎さんらが初出場し、史上最高視聴率の81.4%を記録した年です。そして、堀尾さんが司会をした第55回は、視聴率が40%を割り込んだ最初の年でした。ある意味、昭和と平成の紅白を象徴する年になりましたね。

堀尾:確かに。しばらくワースト記録保持者でしたね。その後、抜かれましたが(笑い)。

【プロフィール】
堀尾正明(ほりお・まさあき)/1955年生まれ、65才。埼玉県出身。1981年にNHK入局。2008年にNHK退職後はフリーアナウンサーとして『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)などで活躍。

田中稲(たなか・いね)/1969年生まれ、51才。大阪府出身。大阪を拠点に昭和歌謡や懐かしブームなどのライターで紅白ウオッチャー。CREA WEBにて『田中稲の勝手に再ブーム』連載中。

合田道人(ごうだ・みちと)/1961年生まれ、59才。北海道出身。歌手・作家・構成作家で、日本歌手協会理事長。紅白歌合戦研究家で『紅白歌合戦ウラ話』(全音楽譜出版社)など著書多数。

取材・文/北武司 撮影/浅野剛

※女性セブン2021年1月7・14日号

堀尾さん

紅白の秘話について語る堀尾さん

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン